やっぱり前田大和とかいう選手を応援してきて良かった話

2020年、横浜DeNAベイスターズの優勝はなくなった。
試合は残っているが、今シーズンの戦いはほぼ終了したと言っていい。ここからは来期を見越した戦いとなるだろう。

シーズン開始後、僕は「前田大和とかいう選手を応援して来て良かったという話」というブログを更新した。例年にない守備面の不安と、打撃面の力強さに思うところがありブログを書いたわけだが、同じ選手のファンにブログ記事を読んで頂き、ホッとした部分はあった。

とはいえ、僕はこう思っていた。

「シーズン終了時点で、ショートのスタメンを柴田選手に『奪われている』だろう」と。

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結果は、半分当たりで半分外れと言ったところだろうか。

シーズン中盤以降は倉本選手が復調したこともあり、大和選手・柴田選手・倉本選手のローテーションでスタメンが組まれることとなった。
チームがこの結果をどう捉えているかはわからないが、大和選手のファンとしては、まだ戦力として計算されているのだと感じ、安心しているところである。

とはいえ、来年がどうなるかはわからない。
長年ベイスターズを支えて来た、石川雄洋選手の退団が発表された点からも、横浜DeNAベイスターズというチームの方針が見て取れる。30歳を過ぎ、ベテランの域に突入した選手への判断は、非常に厳しいものがある。

石川選手は86年生まれの34歳。
大和選手は87年生まれの33歳(ブログ更新時点では32歳)。
来年の今頃、大和選手の立場が戦力としてカウントされない可能性は、決して低くない。

ただ、贔屓の一ファンとして思うところがある。

まだ、大和選手の力は、ベイスターズに必要であると。

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DeNAラミレス監督 激痛に耐えて犠飛の大和称賛「素晴らしい仕事をしてくれた」(デイリースポーツ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/14c435d67c2d6e27fa9dbe60d2946b6558931666

9/15のヤクルト戦、自打球が左膝に直撃し、その後骨挫傷が判明したため、登録を抹消されるということがあった。
怪我による登録抹消は悲しい出来事ではあったが、自打球を受けた大和選手はその後打席に戻り、犠牲フライを放ったのだ。
身を削るようなバッティングで、僕は泣きそうになった。
そしてやはり、こういうところに「前田大和」という選手を応援したくなる要素が詰まっているのだろうと思う。

負けず嫌いで、試合中は感情を表に出さない仕事人気質なところが、やっぱり好きだな、と。

怪我明けの大和選手は、復帰前と比べてスピード感が戻ってきたように思える。
大和選手が離脱している間に柴田選手・倉本選手が少々息切れしているところだったので、大和選手の存在はまだまだ大きいとわかり、(複雑な気持ちはあったが)まだまだ応援できるのでは、という淡い期待を抱かずにはいられなかった。

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今シーズンを振り返ると、走塁に例年あったスピード感がなく、守備も不安定さが目立っていた点から、大和選手は足に不安を抱えてプレーを続けていたと推測される。もちろん、それが怪我によるものか、体重の増量によるものかはわからない。そもそも、足の不安というのも憶測の域を過ぎない。原因がどうあれ、安定的に+指標を稼いでいたUZRはリーグ平均を大きく下回っているのは事実であり、チームとしてデータの観点から貢献できていたかと言われたら、首を振らざるを得ないだろう。

一方、打撃は例年になく積極的で、本来プルヒッター気味だったスイングを一貫しているようにも見える(素人目ではあるが)。
10/24(土)の試合終了時点で、

打率.263
長打率.354
OPS.667

という打撃成績を残している。
ちなみに、長打率OPSについては、このままシーズンが終了すればキャリアハイとなる。
また、ホームランを3本打っており、こちらもキャリアハイとなっている。

打者として突出しているわけ成績ではないが、過去のキャリアから見るに、フォーム改造に取り組んだ結果は出ていると見ていいだろう。

また、得点圏打率という点では例年ほどの良さはないものの、8/25(火)のカープ戦でのサヨナラタイムリーや、10/16(金)の巨人戦での逆転タイムリー2ベースなど、ここぞの場面での一打を打っており、勝負強さは失われていない。
お立ち台に上がった時の反省コメントも実に大和選手らしく、渋い働きは要所で続いている。

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「変えぬ表情の裏側で――大和の知られざる葛藤」FOR REAL-in progress- | 横浜DeNAベイスターズ https://www.baystars.co.jp/column/forreal/200831/

そしてもう一つ。
昨年は一貫してショートを守り続けて来た大和選手が、シーズン中盤からセカンドでの出場機会を増やした。
打撃好調な倉本選手のショート適正を踏まえた判断と言われているが、僕は、大和選手のショートストップとしての限界が来た部分が一因にあったのだとではと推測している。
もちろん、その後もショートでの出場機会はあるため、完全なコンバートというわけではないが、
来期以降は『本来の役割』である、ユーティリティ性の高さを期待しての起用…レギュラー一番手ではなくなるのだろう…と悲観してしまう。

ただ、贔屓ファンとしては「悔しい」ことであり、同時に「安堵する」部分でもある。
良い印象のまま出場機会が減っていき、野球選手としての最後を迎える…本人は絶対それを望まないが、打てない・走れない・守れない…でも、試合には出続けなければならない、そういう選手を応援するのは辛いものがある。
(阪神ファンでもあるので、その辺りは察してもらえると…)

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残り試合がどうなるかはわからないが、一つ言えることがある。

僕は本当に、大和選手がここまで試合に出てくれるとは思っていなかった。
ユーティリティとして穴埋めして、若手が出てきたらそれで役目は終わりなんだろうな…と。
ただ、この3年間、大和選手は新天地でポジションを掴み、それを簡単に手放さなかった。
ファンの、どこか弱気な期待を、大和選手はずっと、裏切ってくれたのだ。

正直、守備に関しては阪神時代の方が圧倒的に凄かった。
取れない打球がないくらい、それくらい華麗だったプレーは、ベイスターズでは影を潜めているように見える。
でも、その分打って、阪神時代には見れなかった景色をたくさん見せてくれた。
悔しい思いをたくさん感じながら、必死に、全力でプレーしてくれた。

 

今年だって、沢山あった。

散々チャンスを潰し、回ってきた最終打席で初球を見逃さなかった、サヨナラタイムリー。
嬉しさより、安堵の表情を浮かべていた大和選手の顔が忘れられない。

先日の逆転タイムリーも。満塁のチャンスで三振したことを「しょーもない」と言った大和選手が、やっぱり好きなんだなあと。(その後、佐野選手が乗っかったところも好きでした)

2年ぶりのセカンド。
センターに抜けようとした打球を取って、グラブトス。
華麗なセカンド守備に、阪神時代に感じていた熱さが再び宿った。

先程も書いた、自打球を受けての犠牲フライ。
今年、大和選手のプレーで一番心が動いたシーンを挙げるなら、間違いなくあの一打だ。

試合中は表情変えず淡々と渋いプレーを重ねるのに、オフショットではお茶目で。
あと、いつからかヒットを打ってベースに立った時、リストを噛む癖がついていることも、ファンなら見逃していないだろう。あれ生で見たくて仕方ないな…とか。

 

そんな、色んな想いをくれた贔屓の選手に出来ることは一つ。
最後まで応援することだ。

時には厳しい言葉をかけてしまうかもしれない。
歯がゆさを感じる時はあるかもしれない。

一軍で活躍出来る期間は、そう長くはないだろう。
でも、今年の活躍は大和選手の選手寿命を伸ばしてくれたと信じたい。

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僕は、1年ぶりに横浜スタジアムへ行くことを決めた。
その試合に大和選手が出るかはわからないが…。

今年もたくさん力を、勇気を貰った選手。
この目にその姿を焼き付けられるように。