世にも奇妙な物語 '20 春の特別編 感想

「春の特別編」の感想をまとめていなかったので、このタイミングで感想ブログを上げました。秋の予習も兼ねて改めて見返したので、新鮮な意見もまとめながら、思っていることをぶつけました。

 

「しみ」

正直、「箱」の既視感は拭えませんでした。このシリーズでは、ある程度同じタイプの作品は定期的に生まれるのですが、それにしても、スパンが短かったなあと。。。

 

例として、「聞こえる」「Be Silent」という、ほぼ同じ構成の作品がこのシリーズにはあります。この二つは放映期間が12年程空いていて、「Be Silent」を新鮮に見れる層が多かったのではと推測しています。僕自身も「Be Silent」は小さい時に観てトラウマになった作品の一つなので、10年くらい期間が空いていれば大丈夫そうな気が。それでいくと、「箱」からは5年くらいしか空いてなくて、かつ「箱」のクオリティがめちゃくちゃ高かったので、「ぐぬぬ。。。どうしても『箱』の記憶が消せない!!!」という気持ちが。「箱」を知らない状態で「しみ」を観ていたら間違いなく、「めっちゃ面白い!!!」という評価になってました。

 

だからと言って、この作品が面白くなかったわけではないです。ゴテゴテのホラーなのかな、と思わせておいて、実は脳出血で意識不明の状態だった。。。というオチは、丁寧でかつゾクっとさせられるものがありました。「しみ」に意味があったのがすごい嬉しかったなあと。他にも、CM前のテロップで「しみ抜きの基本は早めの処置です」って出たシーンがありましたね。その時は「ふーん」としか思ってませんでしたが、観終わった後に「あのテロップには意味があったんだ!!!」って気付いたときの謎の高揚感。こういう使い方してくれるなら、あのテロップがあっても良いなあ、と。

 

他、個人的に思ったのは、CGが実写の邪魔をしなくなったことです。CGって、チープなものだと観ててゲンナリしちゃう時があって。でも、「しみ」のCGは恐怖を覚える、リアル感がすごくありました。演出が植田泰史監督なので(CGを作ったのは別の方かもしれないですが)「流石だ!」って思いましたね。

 

脚本が19秋の「恋の記憶、止まらないで」「ソロキャンプ」の諸橋隼人さんだったのも期待度大で、その期待を超えてくれる作品だったので、この一話あるだけで、19秋の特別編は満足でした。

 

「三つの願い」 

惜しい作品ではあったなあと。奇妙作品の中では最長の40分という大作。演者同士の掛け合いも痺れるところは多かったのですが。

タイムパラドックスの扱いってかなり難しく、長編のアニメや映画でも「尺が足りねえ」って言われるケースがある中、この時間でやり切るにはちょっとボリュームが大きすぎたかなあと。

 

自分だったらですが、「事業が上手く行ったり、めっちゃ高いものを売れたからお金が手に入った、その流れで女性とお付き合い出来て、心臓も移植できた」という、「ランプの魔人に願いを叶えてもらっていなくてもそんな未来だったかもしれない」という導線を残してシナリオを書いたかもしれません。

 

とはいえ、この手のジャンルは「これがいい」って思う人がいれば「説明不足だ」って言う人もいるので、個人的にはこれを作ったスタッフさんが満足しているのなら、それが一番かなあと。

 

最後に、心臓を抉り取られて伊藤英明さんが絶命している最後のシーン。あれは演出としてすごい良かったです。過剰なグロさは不要ですが、当たり前の演出ほど、人間って恐怖を覚えるものであると実感しました。

 

「燃えない親父」 

'20春ではこれがMVPですね。

ストーリー、話題性、キャストの方々の掛け合い。全てにおいてマッチしていたなと。当時の杏さんといえば。。。という状況の中「男は死ぬまでスケベじゃ〜」という名セリフが生まれたりして。男のだらしなさへの虚無が詰まった杏さんの顔が最高に良かったです。

 

で、これは僕の中でなんですけど。

 

最近の奇妙って、コメディ系が鬼門になってるのはご存知ですか。。。? ちょっと前まで、いわゆる怖い話や、ブラック味の効いた話が面白くない、と思っていたんですが。結構その手のジャンル群は持ち直してきて、最近は怖い要素をしっかり持ち味に出来ているようには感じます。

 

あくまで僕の中で、ですが、コメディ系で手放しに「これ面白かったな!!!」って言える作品が、「クイズのおっさん」くらいまで遡るんです。それ以降はショート奇妙、という位置付けの作品もあったりしますが、バチっとハマった作品があんまりない印象で。

 

この作品では、ちゃんと「奇妙」な現象が起きていて、そこに対する解決策がちゃんと「クスッ」とさせられてるなと。お父さんが田中みな実さんの写真集を大事にしてたとか、近所のフィリピンパブの女の子に好意を寄せてたんじゃないかとか。普通に考えたらそんなことで成仏できないわけないじゃん、というのが、お葬式という特殊な状況の中で、あり得ない方向に走って行ってしまう。そういうところがシンプルだけど面白いんだなあと。

 

また、このシリーズを観ている人たちは、「不条理さ」には割と寛容だけど「説明できない面白さ」を奇妙では求めてない傾向があるのかなとは思ってます。(「説明できない」には個人差ありますが)

 

「大根侍」はその例で、アレが漫画だったら面白かったのかもしれないんですが、奇妙っていうジャンルのバイアスをかけて観ちゃうと「何やってんだ…?」って思ってしまうのかな。。。と。ホント、今のご時世、このブログがスタッフさんに見られちゃう可能性あるってわかってて書きますが、アレは浜辺美波さんの無駄遣いでした。近いうちにサイコ100倍盛りくらいの浜辺美波さん観たいのでもう一回出演オファーをしてほしいです。。。(他力本願)

 

一個、注文つけるなら、今のご時世ジェンダーに関する演出間違えると炎上しかねないので、それだけが心配でした。(多くは語りません!)

 

「配信者」

これも惜しい作品だったなあと。主人公は自業自得で奇妙な事件に巻き込まれていって。。。中盤くらいまではヒリヒリしてて面白かったんですが。。。

 

途中で配信の視点が変わっちゃったところが、僕はだめでした。。。

あれ、途中までは主人公を追う配信者の視点で配信が続いていたと思うんですが、最後は結構視点が飛んだよなあと。その瞬間に一気に冷めちゃったんですよね。。。

 

オチもまあ、昔やってた「ドッキリチューブ」のおとなしい版みたいな感じで。むしろ「ドッキリチューブ」ってめちゃくちゃ真っ当にきつめのブラック系作品だったんだな、と再評価出来たので、そういう点は良かったかもしれません。

 

と、最後は辛めな感想をつけてしまいましたが、新型コロナウイルスの影響を受けていたことを考えれば、「しみ」「三つの願い」「燃えない親父」この三作を観れただけでも十分お腹いっぱいだったなと。

 

「しみ」「燃えない親父」は違和感なく観れたのが面白く、「三つの願い」も邪推しながら自分の解釈が出来る余白を作ってくれていた点で、嫌いじゃないなと(ジャンル問わず説明過多な作品って疲れちゃうんでね)。

 

あと、ストーリーテラー部分もちゃんと意味があるってすごく大事で。

面白くない特別編って、テラーも何言ってるかわかんない、手抜きに見えちゃう時があるので、こういうところにも見所があるように感じました。

 

そして、ついに今日の夜、世にも奇妙な物語 秋の特別編が放映されます。ほん怖の方でミソが付きましたので、奇妙は何事もなく放映されることを願っています。。。!