何事も「ストーリー」のように考えるといいのでは、という話。

先日、僕が会社の同僚と仕事の話をしている時のこと。
社内で個々のメンバーに目標を設定する、という仕事に対して同僚は悩んでいました。
僕はアドバイスとして「メンバーの成長イメージをストーリー仕立てで考える」という話をしたところ、その場に居合わせた僕の尊敬する上司が、その考え方を好意的に受け入れてくれたのです。

 

その後、その上司とは、「ストーリーを立てる」という考え方について何度か話す機会がありました。
話していると有用な感じはしつつも、考え方としてはロジカルシンキングにも近いので、何かこの考え方の「特異性」がないかなぁと思い。

 

改めて、僕が思う「ストーリーを立てる」って何なのかを、掘り下げてみました。

 

この記事は、僕の年齢前後(20代中盤~30代前半)の方向けの記事を目指しつつ、特に、下記に当てはまる方に読んでもらいたいと思っています。
・何かしら「漠然とした不安」を抱えている方
・「考え方」についての指摘をされることが多い方

 

ただし、結論として
・自分で「考える」時間は必要
・夢や目的を果たすためには、自分の時間を対価にして「行動」「経験」することは必須
であることを、今のうちに提示いたします。

 

また、僕自身の言語化の訓練や、自戒も込めた内容となっております。
関係者の方々、もしご覧になられた場合は、優しく見守っていてください笑

 

◆2年前の自分の思考を分析してみる
今から2年位前の話ですが、僕はこの会社の管理責任者(マネージャー)になりたいと考えていました。
その時の思考の流れを、下記に整理します。

 

【目標】
この会社の管理責任者(マネージャー)になりたい!

 ↓ どうしてなりたいの?

・組織が存在する場合、管理者の経験があることで将来の選択肢が広がるから
・技術力一本で生きていくのは難しいと思うから

 ↓ どうしてそう思うの?

・エンジニアとしての純粋な技術力を高めるなら、会社でも個人でもフリーランスでもいくつか方法はある
・メンバーを纏める経験は、組織の中に属していないと難しそう
・10年後には、子供の頃からプログラミングを学びプロダクトを作った経験のある技術者との競争が発生しそう
・でも、組織をまとめる技術があれば、エンジニア以外の仕事にも応用が効くから

 

ざっくりこんな流れです。

 

考え方としては、よくある「How」「What」を意識したものですが、今思うと、ここに「あるべきなのにないこと」があります。

 

「この会社の管理責任者(マネージャー)になりたい!」という目標に対して、「どうしたいか」がないのです。

 

その時の僕には、マネージャーになってどうしたいかはありませんでした。
強いて挙げるなら、管理責任者の仕事があまり好きでは無さそうではなかった上司の代わりになって、上司には開発へ専念してもらえるようにしたい、という気持ちはあったかもしれません。
ですが、それも「管理者になった」瞬間に果たされるものであり、「管理者である間」のことではありません。

 

結果、尊敬する上司から、「今の考えのままだと、じんぐうじ君が将来、苦しむことになるかもしれない」という助言をもらいました。
その時の僕は釈然としない部分もあったと思いますが、今なら凄くわかります。

 

じゃあ、どうしたら良かったのか。
今、自分に問うなら、自分を主人公に見立てて、ストーリーを考えてみては?とアドバイスするでしょう。

 

◆2年前の自分の思考にストーリーを立ててみる
ストーリーを立てるをもう少し具現化すると、
・主人公を設定
・主人公の夢
・その夢を考えるに至った経緯
・夢を実現するための行動はどうするか
・夢が実現した時の行動はどうなるか
を考える、ということです。
wikipediaとかpixiv百科とかで、キャラクターの紹介文ありますよね?
あれをイメージするとわかりやすいかなと。
キャラクターの魅力って、何かしらの理由で夢があって、それを実現して何がしたいか、って部分が一つあると思います。
恥ずかしいけど、それを自分とか他人に当てはめることで、「楽しく」「筋道が立った」考え方が出来るのではないか?というのが、僕の「ストーリー仕立てで考える」思考法なのです。

 

・主人公を設定
当時の僕を主人公にする場合、まずはスペックを洗いだす必要があります。

主人公:じんぐうじ
年齢:29歳
性別:男
職業:サーバーエンジニア
役職:リーダー
技術領域:PHP(5年),MySQL,AWS/Linux,apache,docker,Git
担当フェーズ:運用保守メイン、サービスのクローズ経験あり、案件の立ち上げ参画経験中
技術好奇心:なし
趣味:小説を書くこと
彼女:いない
性格:豆腐メンタル、ちょっぴり利他的

 

ざっくり、こんな感じかと。
ストーリーを立てるためには、主人公の設定を練るだけの「情報」が事実ベースで必要です。
自分を主人公にする場合も、他人を主人公にする場合も、まずはこの情報を洗いだすことからスタートです。

 

・主人公の夢
・その夢を考えるに至った経緯
で、主人公のじんぐうじが目的を果たすためのシナリオが、次にやってきます。
ドラマが好きな人はドラマを、アニメが好きな人はアニメをイメージしながら、シナリオを組んでいきましょう。

 

***
僕はじんぐうじ。
29歳のサーバーエンジニアだ。
間も無く30歳を迎えるにあたり、僕はこの会社で、マネージャーを目指そうと思っている。

理由はいくつかあるけど、正直、褒められたものではない。
僕は大学まで、プログラミングをしたことがない。元々は学校の先生になりたかったが、色々あって叶わなかった。
この会社に入って色んな経験もさせてもらったが、技術的な好奇心が自分にはあまりないし、昔から好きでやって来た人との差を埋めるためには相当努力しないといけない。
でも、他のエンジニアと違って、僕はマネージャーになりたくない、という感覚もない。誰かが困っていれば助けたいし、そういう行動は会社の中でもしてきたはず。
今後の社会を考えると、技術競争は間違いなく起きる。でも、ものづくりをする現場に居る人たちで、人材管理をしたい人は、決して多くはないはず。なら、そこを目指すことで、自分の生きる道があるんじゃないか?と思ったんだ。
だから、僕はマネージャーを目指すんだ!
***

 

2年前の僕の思考をストーリーっぽく考えると、まさにこんな感じなんです。
で、ストーリーに置き換えて考えると、これは「主人公のプロフィール欄」に乗っている情報なだけで、ストーリーにはなっていないなと。
ストーリーにするためには、「何を頑張って」「実現した先で、さらに実現したいこと」が必要になって来るのです。

 

・夢を実現するための行動
・夢が実現した時の行動
そこで、この二つがやって来ます。あくまでも、当時の僕に置き換えた状態で、ではありますが、今の自分から見た当時のじんぐうじ君のストーリーを考えました。
重要なことは、所謂「ロジカルさ」を求めないこと。あくまでも、その主人公として「必要な事」であれば良い。その意味については、このストーリーの話が終わった後で解説します。

 

***
で、マネージャーになるといっても、そのためにはやるべきことが色々あるはずだ。

まずは、僕の上司のマネージャーに認められることを目指したい。
アドバイスは貰えるだろうし、上申してもらうためにも、上司の信頼は必要だ。
だから、今の気持ちを伝えるのが一つ。
あと、その上司は今、色々タスクを抱えて困っているようだ。
それを僕が協力して、助けることが出来たら、上司の信頼に繋がるかもしれない。
その話もしてみよう。

上司の信頼を得ることが出来れば、上司から仕事を任されることがあるだろう。会話が増えて、得られる知識もあるはず。
今はまだ見えていないこともあるから、そういう相談もしてみよう!

 

あと、マネージャーになって終わりじゃないから、なって何をしたいか、も重要だな。
。。。やりたいことは特にないかもしれないけど、その時は、別の人と協力しながら、自分の負担を減らす仕組みは考えておかないといけないな。
ただ、僕は人を助けること、嫌いじゃないし、なんなら楽しいと思えるから、マネージャーになったら、メンバーとの繋がりを保ち続けたい。


ん? それって、マネージャーじゃなくても、出来る話では?
じゃあ、僕って、「マネージャーになること」が夢でいいの。。。?
***

 

。。。おや? じんぐうじのストーリーに、違和感が出て来たな?

 

これは実際の僕の話でもあったのですが、僕に「マネージャーとしてやりたいことがない」以上、ストーリーは組み立てられません。
もっと言うと、この主人公が「やりたいこと」を一切見せずにストーリーを組もうとしている時点で、そもそもが間違っているのです。


どんな物語も、大事な要素の一つは「動機」だと思います。

 

攫われた妹を助ける為に旅をするのも(原神)
死んだ恋人を生き返らせるために過去を変えようとするのも(東リベ)
戦っていく中で自分の生きる理由が見えるパターンも(呪術)

 

全部、「動機」の有無がめちゃくちゃ大事。
究極、「働きたくない」も動機。「生きるのやめたい」も動機。
その起点にある主人公をどう持ってくかの「ストーリー」が、我々には非常に大切なのです。

 

なので、今の僕のストーリーはざっくりまとめると下記になります。

 

***
じんぐうじ、31歳。

僕の夢は、今書いている小説に共感してくれる人を集めて、一つの大きなサークルを作る事。
そのために、今は仕事の傍らで小説を毎月書いてpixivにアップしている。
今年はアンソロも作って、本格的に仲間集めを開始しようと思っているところだ!

でも、僕の書きたいことは、商業的にやりたいことではない。
成人向けで、しかも、男性向けとも、女性向けともはっきり定義できないことをやりたいと考えている。
そのためには、この小説を「仕事」として捉えるのではなく、「趣味」の延長として考え続けたい。
もちろん、結果的に「仕事」になるなら、それは嬉しい。

だからこそ、僕にとって「仕事」は主軸。趣味に活かせる状況を作り続けたい。
そのうえで、ただ仕事をこなすだけでなく、会社に貢献できればよりよい。会社にとってもメリットだろうし、僕は経験が小説を書く上でのエッセンスになるから win-winだ!

じゃあ、会社に対して僕は何がしたいか、と言われたら。。。大それたことは特にない。
一緒に働いている人が楽しく働ける状況が作れたらな、とは思う。
僕はどうやら、他の人よりも「行動力」があるようなので、困っている人が居たらまずは話を聞いて、解決のために一緒に方法を考えたい。
昔みたいにマネージャーになりたい、という気持ちはない。どんな立場であれ、一緒に働く人たちが前を向いて働ける、そんな環境を作るために行動できれば、僕はそれでいいと思っている。

もちろん、そのためには技術を付けていくことも大事だ。
確かに、プログラムを好きな人には実力は叶わないかもしれない。
でも、僕には僕を助けてくれる人が沢山いる。その人と相談しながら、自分も必要な技術をしっかり磨いていく。それだけでも僕は十分やっていけるし、成長する気もある。
今は、自分が信じていることをひたむきにやり続けることが一番。
結果は、その果てについてくると信じているから!
***

 

10年後の自分がどうなっていて欲しいか、というものは正直ないです。
そもそも、10年後の自分は、全然違うものを大事にしている可能性があるからです。

 

ありがたいことに、この世で一番好きだと思えるパートナーが出来ました。
将来は幸せな家庭を築きたいです。そうなると、仕事や趣味の方向性は一変する可能性があります。
だからこそ、起点となる「今の動機」をしっかり定めることが大事なのでは、という結論に行きつきました。

 

ただ、僕がストーリー仕立てで考える有用性は、動機をしっかり定められることだけではありません。

 

「考え方を『目的化してしまう』リスク」の低減というメリットがあるのでは、と考えています。

 

ロジカルシンキングの「落とし穴」
仕事をしていると「ちゃんと考えなさい」と指摘を受けるケースってありますよね。
この時、僕も「ロジカルに考える」ことを意識はします。

 

ただ、最近気付いたことがあって。
ロジカルシンキングを、自分に自信がない人や考えるのが苦手な人が実行すると、

 

ロジカルシンキングが「目的」になる
・「正しさ」に固執してしまう
・全てが「考える事」ベースになって根拠がなくなる

 

上記のような失敗が起きてしまうのではないかな、と推測します。

 

ロジカルシンキングが「目的」になる
ロジカルに考えることはあくまでも「手段」。
本来達成したい夢や目的が別にあって、その夢や目的を達成するために、過程として何が必要かを洗い出したい。
そんな時に、論理だてて物事を考えることで、成功に近付けていく。そのための「思考法」でしかないはずなのです。

 

けど、仕事をしているとついつい「ロジカルに考えないと」と思ってしまいがち。
その考え方が既にロジカルじゃないんです!
だって、ロジカルシンキングは「思考法」であり、「目的」ではない。
仕事で課題が見えたときに、「ロジカルに考える事」ではなく、「課題解決の為にどんな手段を選ぶべきかを考える事」の方が、実は優先度は高いはずなのです。

 

また、「ロジカルに考えなさい」という考え方の指摘が多い方は恐らく、「考える事」へのアレルギーが多い方も居るはず。

 

失敗の例)
上司に同意してもらわないといけない
 ↓
上司は何を考えているんだろう
 ↓
わからない。。。ないしは、わかっているつもりになっている
 ↓
とにかく、ロジカルに考えないと無理だ!

 

僕も仕事が上手く行っていない時はこうなっちゃいますが、地獄のループ。
この状況に陥ったら、絶対に上手く行かない。
本来の目的からは全てズレてしまっていて、その目的を果たす手段もズレている。
だから、提案したとて棄却される。そのループを続けてしまう。

 

まず、「ロジカルに考えないと」は、「失敗するアラート!」くらいに身構えるのがベスト。
これはマジで気を付けた方がいいです。

 

・「正しさ」に固執してしまう
これは僕の実例です。
2年前の僕の思考法も、僕としては「ロジカル」に考えた結果でした。

 

で、ここの「正しさ」とは、「自分のリソース上」の正しさのことを指します。
今の自分のスペックを考えたら、出来ることはこのくらいだよな、とか。
状況考えると、こうするのがベストだよなとか。

 

なので、自分としては、めちゃくちゃ論理立てられた流れなのですが、今の自分から見たら色々突っ込みどころがあるわけです。

 

・マネージャーになったら技術力はより必要やぞ?
・技術力の負い目を避けてマネージャー目指すわりにマネージャーになってやりたいことないって危なくない?
・人をまとめたりフォローする役割が求められてるのに、結局自分の名声しか見て無くない?

 

とか。

https://mba.globis.ac.jp/careernote/1006.html
ロジカルシンキングで検索したら、考え方の方法や目的、有用性はいっぱい出てきます。
ただ、僕も含めてですが、「ロジカルに考える事」 = 「正しく考える事」ではないことをはき違えて「ロジカルな考えをしていたら正しい」という錯覚に陥ってしまっているのです。結果全然ロジカルな考え方は出来ていなかった、という落とし穴にはまるのですよ。。。

 

ロジカルに考える事で
・因果関係を「正しく」捉える力が身につく
・上記の因果関係を把握すために「正しく」聞いたり、考えた結果を「正しく」伝える力が身につく

 

のであって、「ロジカルシンキング」は、物事を正確に捉える力を付けるための「トレーニング」なんじゃないかなと。

なのに、そのトレーニングもしっかりやってない人が、ロジカルに考えないと。。。って思ったら当然失敗する筈なんです。筋トレと一緒です。

 

・全てが「考える事」ベースになって「行動」がなくなる
そして、一番辛いことはこれ。
僕の実例の部分でもある通りで、「行動」に紐づく検討結果が一個もなかったりするのでは?と思うのです。

 

また、上司の指摘を受けた後の失敗談の部分については別ベクトルで「行動」が伴わないパターンもあるかと。
悪い思考パターンに入ると、「あの人は何を考えているんだろう」と思考がグルグル回るばかりで、

 

・上司に「聞いて」確認してみる
・上司には聞けないから別の人に「相談して」ヒントをもらう
・自分が正しいと思ったことの根拠を「調べる」 ※悪いループの時はこれをやってもダメな時ありますが。。。

 

みたいな行動に全く移せないことがあるはずです。
考え込みやすい人は大体そうなのでは?
それで、必死に考えて提出した案がぜんぜんダメで「ちゃんと考えたの!?」というループ。

それで、自信を失くしてしまう人がかなり多いんじゃないかなと。

 

これも「考える」ことが目的になってしまっているが故に起きる現象だと思います。
「考える」ことはあくまでも目的達成の手段として、道筋を立てるために「考える」わけで。
そこで「考えている」ことは、厳しい言い方をすると「結論も出せないのに悩んでいるだけ」なんです。

 

じゃあどうしたらいいんだ!
という人に向ける思考法が「ストーリー」にしてみる、なのです。

 

◆ストーリーで考える3つのメリット

1. 「動機」が軸になる(動機が大切なんだとわかりやすくなる)
2. 「考える」を目的にしてしまうことへのリスクを低減する

 

そして3つめが、「『行動』と紐づけやすい」のではないかな、と。

 

僕も今書いていて、昔苦手だったエンジニアの上司を思い出しているのですが、今思うと、もっと相談しておけば良かったんだなと思うわけです。
でも、自分で考えてばかりで、全然話せなかった。
そして、「貴方の言っていることがわからない」を繰り返させてしまっていた。
それは、僕が「行動」出来ていなかったからだ!と思うわけです。


そこで、一例に出した「上司に提案を通したい!」を軸に、ストーリーを考えてみましょう。

主人公を僕、相手を上司にしたとき、ここで、「上司」もキャラクター化してしまいましょう。
この記事を読んでくれている方は、読んでいるご自身と思い浮かぶ上司をそれぞれ想像してみて、設定を考えてみてください。

 

そこでまず「設定が組めない」という人が一定数居ると思います。
で、失敗しがちな人は、上司のキャラクター性をわからずに、全ての話を進めようとしてしまっているのではないかな、と思います。
もちろん、めちゃブラックな職場でそれどころじゃない人は無視してほしいですが、結局物事は概ね、信頼関係によって成り立つもの。自分の事もだし、相手のことを理解することが、まずはスタートだと思います。

 

なので、この時点で「上司のことを設定できない」となった場合、「上司のことを知る」という行動が挟まります。
この知る方法は本人に聞くのが一番早いですが、苦手だなという人は、知ってそうな人にアドバイスを貰いましょう。
そもそも、そんな人間関係は築けていない。。。という方は、別の方の思考法を探された方がいいと思います。
僕の思考法はどうしても「行動」に結びついているので、苦手な人に強いるにしてはかなり難易度が高いのでは、と感じています。

 

次に、主人公の動機と、上司の動機を設定してみましょう。
この動機は大小是非様々ですが、あくまでも事実ベースで。「この人とは話したくない」すらも動機ですので。
ノベルゲームが好きな人は、「攻略する」みたいな考え方をすると面白いかもしれませんね。

 

僕の場合よくあったのが、「上司にテーブル設計の相談をする時」に、ちゃんと提案が伝わらなかったこと。

 

この時の僕は、

 

・提案したいけど自信がない
・根拠がない
・その根拠を探したいけど、時間がかかっている

 

大体こんな状況。

 

上司の状況はあくまでも類推ですが、

 

・聞いたら答えてあげたい
・ただ、言い方がきつくなってしまうかもしれない

 

っていう属性だったと思います。
なので、今だったら、提案する前に「一緒に考えること」をお願いするかもしれません。

 

ストーリーに置き換えると。。。

 

***
僕はサーバーエンジニア。今、テーブル設計をしているところ。これを上司のレビューで通してもらいたいのだけど、凄く不安だ。。。
何で不安なんだろう。なんとなく、根拠が合ってるか不安で。。。そもそも、考え方が合ってるのかすらわからない。。。
ああ、考えてる時間勿体ないなぁ。。。でも、今のまま話しても、提案は絶対通らない気するなぁ。。。

僕の上司は言い方キツイ時あるし、この状況では提案しづらいなぁ。
でも、相談には乗ってくれる人だし。。。そうだ、提案はしなくていい。今、わからないと思っていること、素直に打ち明けて、相談してみよう。
教えてもらえたら、そのことを次に活かしてみよう!
***

 

こんな感じになるのでは?と。
ストーリーに仕立てると、僕は「提案がしたい」のではなく、「今、わからなくなっている状態を解決したい」わけです。
で、自分で考えても、恐らく穴がありそう。ただ、漠然とした不安は抱えている状態。
そこで、上司は自分から聞いてくれるタイプではないけど、相談には乗ってくれるとわかっている。

 

であれば、取る選択としては

 

「ごめんなさい! 僕、どうしても考え方がわからなくって!
 どう調べたらいいかとか、根拠とか含めて、一緒に考えてもらえませんか?」

 

実は、これだけで良かったんじゃないかなって思うわけです。

 

考え方の素養が身についている人は、わざわざこんなことしなくていいはずなんです。
ですが、ここで書いているのはあくまでも、そういう考え方が苦手な人に向けた方法の提案です。

 

客観的に、貴方が「上司に提案したい!」シナリオのドラマやアニメを見ている感覚になった時、

 

「ああ、提案出来ない!でも考えて提案しちゃえ!なんとかなれ!」

 

ってシナリオを見たら、そういう失敗しちゃうけど、それは相談した方がいいんじゃない。。。って見方になるのでは?
それを自分に当てはめてあげる、それを繰り返しているうちに、いわゆる「ロジカルシンキング」みたいなものが身についてくるのかな?と想ったりするわけです。

 

しかも、これは「相談」という行動に紐づいたストーリーになります。
成功するかもしれないし、場合によっては失敗するかもしれない。
でも大事なのは、小さなストーリーを「実行した」という事実。
上手く行っている人は、これが自然に出来ているのでは?僕は今、この仮説を割と信じています。

 

◆この方法は、「自分の生き方を考えるため」に使ってみて欲しい
最後に。
上司と部下の関係性で例を出しましたが、結局「動機」が発揮されるケースは、「自分がどうなりたいか」の一点に尽きると思います。

 

自分の将来とか、夢とか、逆に、焦りなんかもあると思います。
そうなった時大事なのは、自分へ「投資」が出来るか。

 

ここで「投資」というと、「お金」をイメージする人が居ると思います。
もちろん、お金は選択肢を広げます。あって損はありません。
現実問題、今の社会を考えた時、自分の「価値」はどうしても重要になって来ます。
悲しい歌に共感して、この世を憂いて叫ぶ作品に陶酔して、僕等はその人に「価値」を見出していますが、その歌に、作品に携わっている人は、僕等が感じている「価値」を、「再生数」「人気」「売り上げ」という指標に転換し、生きている「お金」を得ているわけです。

 

でも、「お金」は「投資の手段」でしかありません。さらに、「投資」なので、持っている人の方がかけられるに決まっています。
僕もお給料を頂けるようになったから、カウンセリングを受けに行ったり、パーソナルのトレーニングを受けたり出来たわけです。

 

そんな状況でまずすべきことは

 

・時間(特に可処分時間)に限りがある、という認識を持つこと
・自分の「価値」を上げるための行動を繰り返すこと

 

だと思います。

 

「投資」という表現をし、僕と同じ世代を読者ターゲットにしたのは、

 

・投資は早ければ早い方がいい
・今からの行動で、恐らく「間に合う」

 

からです。僕が諸々気付いたのは、29歳の夏頃。それまではなんやかんやダラダラ生きてました。
だから大丈夫とは思わないですが、遅くないとも思っています。

 

もし、この状況を打破したい、という「動機」が少なからずあるのであれば、自分のストーリーを考えてください。
自分じゃ考えられないよ!という人が居たら、友達とか、知り合いと一緒に考えてもらうでもいいと思います。なんなら僕が聞きます。
「価値」も、大層なものじゃなくていいです。自分が「これがあるから生きていけるな」とちょっぴり思えればいいです。
料理が得意だ、掃除が得意だ、寝るのが得意だ、でもいいかもしれないです。

 

自分に、生きていていいんだ、と思える自信をつけるために、自分のお話を、出来れば、ハッピーエンドを想定して、考えてみてください。

 

次回は「可処分時間」について。
こんなことを書きましたが、書いていて今の自分にグサグサ刺さることもあったので、自分ももうちょい色々頑張ります。。。!
みんなで、一緒に頑張っていきましょう!

櫻坂46「Start over!」についてなんとか語ってみた

※これは2000%私見です

ハンターハンターはすごく知ってるけど櫻坂のことは欅坂と間違うくらいの知識しかない友人に読んでもらえるよう考えてまとめました


◆この曲を知るための前提情報

start over、日本語に訳すと「やり直す」。

曲を聴くとわかるけど、その訳のように「今からでも遅くないからやり直そうぜ!」というメッセージが全体的に込められている。

 


では、どうしてこんなメッセージの楽曲が、櫻坂46の6枚目としてリリースされたか。

 


それは、欅坂46時代まで遡る。

 


◇デビュー曲「サイレントマジョリティー」の存在

欅坂、そして櫻坂を語る上で、2016年にリリースされたデビュー曲「サイレントマジョリティー」という楽曲の凄さを知らずには語れない。ただ、CDの売り上げは欅坂の中でも決して高い方ではない。だが、長期間にわたり高いチャートアクションを見せ、アイドルの楽曲では中々伸びづらいYouTubeやストリーミング媒体での再生回数が高かったことに、サイマジョの人気が証明されている。

 


同曲のYouTubeの再生回数は約1.8億回。デビュー曲の大ヒットは、AKB48乃木坂46など、その時にアイドル界の第一線で活躍していた先輩アイドル達でもなし得なかった快挙だ。

ちなみに、YouTubeの再生回数を元に比較すると、AKB48の代表曲の一つ「恋するフォーチュンクッキー」が約2.3億回で、乃木坂46の代表曲の一つ「インフルエンサー」のyoutube再生回数が約8400万回。

また、他アーティストで、人気漫画のアニメタイアップがついていた、近年の「ヒット曲」をいくつかリストアップすると、

 


・YOASOBI「アイドル」約3.3億回

・Eve「廻廻奇譚」約3.2億回

・LiSA「炎」約3億回

・YOASOBI「怪物」約3億回

・Aimer「残響散歌」約1.8億回

・Ado「新時代」約1.4億回

・LiSA「紅蓮華 THE FIRST TAKE.ver」約1.3億回

official髯男dism「Cry Baby」約1.3億回

・米津玄師「KICK BACK」約1.2億回

official髯男dism「ミックスナッツ」約1億回

・Ado「逆光」約1億回

 


ここ一年以内でリリースされた楽曲と、7年前にリリースされたサイマジョの単純比較は出来ないが、「サイレントマジョリティー」という楽曲が、ファンの絶対数以上に知れ渡っている証明にはなるはずだ。

 


「笑わないアイドル」として痛烈なメッセージを世に放ち、大衆の共感を得て第一線を駆け抜けた欅坂46。絶対的センター、平手友梨奈の圧倒的な魅力と、アンバランスでありながらどこか統一感のある、唯一無二のパフォーマンス。

欅坂46の物語は、本当に『漫画』のようだった。

 


◇魔曲「不協和音」の誕生

サイレントマジョリティー」のリリース後、アイドルらしさのある楽曲「二人セゾン」もスマッシュヒットし、紅白歌合戦にも出場。名実ともにトップアイドルの座を手に入れた欅坂46に異変が生じたのは、2017年にリリースされた4枚目シングル「不協和音」のリリースがきっかけだった。

 


サイレントマジョリティー」以上のセンセーショナルな内容。『支配したいなら僕を倒してから行けよ!』と、聴くものを焚き付ける歌詞は、まるで漫画の主人公の立ち振る舞いそのもの。サイマジョ以上の強い楽曲が生まれ、YouTubeでの再生回数が約9400万回に到達するヒット曲となった。

 


だが、この頃から欅坂46の歯車は狂い始める。

 


ファンが知るところで大きな事件を一つ挙げるなら、同年の握手会にて、平手友梨奈柿崎芽実(当時、けやき坂46として活動)のレーンに、発煙筒をつけた男が乱入してきたことだ。

もちろん、この事件はきっかけの一つにしか過ぎないのだが、それ以降、センターの平手友梨奈は心身の不調を抱え、ライブやTVパフォーマンスを休まざるを得ない状況となる。

 


トドメを刺したのはその年の年末、紅白歌合戦のパフォーマンスでのこと。

楽曲終了後、平手友梨奈を含めた3名のメンバーが体調不良を起こし、倒れる瞬間が放送された。

 


そして、紅白歌合戦終了後、絶対的センターの平手友梨奈が「グループと距離を置きたい」と、実質的な卒業・脱退の申し入れをしたのだった。

 


この一部始終は、彼女達のドキュメンタリー映画「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」にて、より詳細に語られている。興味のある方は是非見てほしい。

 


◇「黒い羊」に込められた【絶望】

2018年の活動は、リリースされた楽曲のセンターを平手友梨奈が務めたものの、パフォーマンス披露の際には違うメンバーがセンターを務める機会が増えてきた。

2017年、前述の不調もあって平手友梨奈が不在の中でパフォーマンスをする機会は何度か訪れたものの、メンバーの間では彼女が居ないことによる『欅坂46』の価値の喪失へ直面しているように見えた。

2018年の欅坂46はそれぞれのメンバーの決意により、平手友梨奈がいなくても成り立つ『欅坂46』の世界観を作りあげ始めていたところではあったのだ。

ライブは圧巻のパフォーマンスが多かったものの、世間に見てもらえる機会はなかなかなく。そんな中でTVパフォーマンスとして印象に残ったものが2018年の年末、ミュージックステーションにて披露した「アンビバレント」だ。

この年、平手友梨奈はステージ上から落下して怪我をするなど、一年を通じて万全な状態でパフォーマンスを出来る状態にならなかった。そんな中、センターを担った鈴本美愉のパフォーマンスは、ファンの中では「平手がセンターに居なくても欅坂はやっていける」という期待を持たせてくれた。

 


だが、その翌年にリリースされた「黒い羊」は、歌詞やMVを通して、欅坂46に蔓延している『絶望感』を伝えるものとなった。

 


「黒い羊 そうだ 僕だけがいなくなればいいんだ」

「そうすれば 止まっていた針はまた動き出すんだろう?」

「全員が納得する そんな答えなんかあるものか!」

 


サビの一節はあまりにも痛烈だったが、「不協和音」以降は徐々に固定ファン以外の影響力を失いつつあった欅坂46において、彼女達の表題曲では最も「知られていない」表題曲となった。

MVも、苦しむ人物の姿が次々と映し出されていく。そんな人々を『僕』である平手友梨奈が助けようとするが、「すべてお前が悪い」と言わんばかりに突き離される。それでも『僕』は彼女たちと抱き合うことで救いの光を差し出すのだが。

 


その光は、長く輝くことはなかった。

 


2020年、平手友梨奈は脱退。

さらに、欅坂46としての活動が終了。ラストライブの最後に、「櫻坂46」としての活動開始が発表されることとなった。

 


◆櫻坂46になってからの「苦悩」

2020年、櫻坂46はデビュー曲「Nobody's fault」をリリース。そこから「Start over!」に至るまでは、5枚のシングルと1枚のアルバムをリリースしている。

 


欅坂時代の楽曲は、比較的に自己を肯定しつつ、他者や大人、社会を批判するスタンスのものが多かったが、櫻坂は一転して、立ち止まっている自分を批判しつつ、鼓舞する楽曲が増えてきた。

 


しかし、楽曲の転換は一般層はもちろん、欅坂46の楽曲を求めていたファン層にも深く刺さることはなく、CD売り上げ以外の指標は欅坂46時代から軒並み下がることとなった。

 


加えて、2022年にはこれまでグループをキャプテンとして支えてきた菅井友香が卒業。櫻坂46としての大きな転換点が間も無く、訪れようとしていたところだった。

 


◇「Start over!」は『僕』がリブートする物語

欅坂、櫻坂を通じて、楽曲には『僕』と呼ばれる主人公が明確に存在する。

サイレントマジョリティー」「不協和音」ではまるでレジスタンスの最前線で戦っていた『僕』だったが、「黒い羊」では『僕だけがいなくなればいい』と、自ら白旗を上げていた。

そこからしばらく、『僕』の救済の物語が続く。

 


「誰のせいでもねぇ」(Nobody's fault)

「勝手に絶望してるのは 信念がないからだってもう気付け!」

「やめろって言われても もう今更違う自分になれるわけないじゃない」(BAN)

「黙るってのは敗北だ 言いたいことを言ってやれ」

「殴るよりも 殴られろ」(摩擦係数)

 


ただ、櫻坂46のメッセージ性がある楽曲には、すでに『負けている僕』のメッセージが漂っていた。それは諦めであり、無力感であり、絶望であり。その中でもなんとか這いあがろうとする『僕』が歌われていたものの、立ち上がるまでには至っていなかった。

 


そんな『僕』が明確に立ち上がったのが「Start over!」なのだ。

 


「もう一度やり直そうなんて思うなら今しかない」

「大事なのはどこからやり直すか? そりゃ諦めかけた数秒前」

 


自分のせいじゃない。

自分は変われない。

でも、このままじゃいられない。

 


鬱屈したものが解放された瞬間。それが、「Start over!」には詰め込まれているのだ。

 


◇二人の『僕』の決意と救済の物語

ここは、いろんな考察があるので、私の考察が正しいわけではないことを承知してほしい。

 


その上で、この曲には『僕』が二人存在する、と思っている。

 


そのうちの一人は、MVの1:58に映る、小林由依のことだ。

 


なぜ彼女なのか。

理由は、欅坂46のところで述べた「黒い羊」という楽曲にある。

 


黒い羊のMVの3:06あたりから見てほしいのだが、小林由依が演じる女子高生が転倒するシーンがある。ここは、それぞれが心に闇を抱えている人たちが、希望の光に向かって走り出している(現実から逃げているともとれる)シーンだ。

そんな小林由依のことを、3:09で平手友梨奈が助け、小林由依を他のメンバーたちの方へ行かせるシーンがある。このシーンと、「Start over!」の同シーンが類似していると感じたからだ。

 


小林由依は、欅坂46初期から最前線でパフォーマンスをするメンバーの一人だった。平手友梨奈不在のセンターでは代わりを務める機会もしばしばあり、言うなれば、平手友梨奈の葛藤や苦悩をより近くで見続けていたメンバーの一人だった。

 


先ほど語ったドキュメンタリー映画の中で、小林由依は他のメンバーとは少し違うアプローチで受け答えをすることがあった(内容は見て確認してほしい。誤解されたくないので)。不器用ながらも心優しいメンバーが多かった欅坂において、楽曲に宿る『僕』の精神性が平手友梨奈の次に近いのが小林由依だったかもしれない、と思わせる瞬間が、そこにはあった。

 


故に、「黒い羊」で平手友梨奈小林由依を助け出すシーンは、どこか痛みを感じてしまう。

 


君は先に行け。こちらに来ては行けない。

 


そんなメッセージを感じてしまうようで。

 

 

 

欅坂46の後半は、小林由依の存在がなければとっくに瓦解していただろうとも思う。もちろん、ここでは語っていない他のメンバーの成長やフォローがあってのことではあると思うが、歌唱からダンス、演技まで、ひたむきに成長し続けてきた彼女にしか表現できない魅力があり、チームを引っ張っていく強さがある。

 


そして何よりも、『僕』に近い精神性でありながらも、彼女は『僕』、すなわち『主人公』になれない儚さも持ち合わせている。それは、表題曲やカップリング曲含め、彼女のセンター曲が今まで一曲もないことで証明される。

 


「Start over!」の2番の歌詞がわかりやすい。

 


「それじゃ僕は一体何なんだ? 誰かのこととやかく言えるのか?」

 


1番の歌詞は「君は何か夢とかあるのかい?」と問いかけから始まるため、私は2番の歌詞の『僕』が1番の歌詞で『君』に向けて話をしていたのだろうと推測している。

 


そして、2番の歌詞の『僕』は、そんな1番の『僕』にそう言っているが、自分はどうなんだ?と問いかけている。

その象徴が、Start over!のMV1:58の小林由依である。実質的には彼女を含め、櫻坂を支える欅坂1期生ではないかと思っている。欅坂で培った経験や苦悩を2期生や新しく加入した3期生に伝えつつも、自分たちはこのままでいいのか?という新たな悩みに「今日までずっと持ってたものなんてどうでもいい」と答えを出す物語なのだ。

 


そして、そんな彼女の手を、MV2:10で引いていくのが、1番で登場したもう一人の『僕』である藤吉夏鈴である。2期生、と置き換えてしまっても良いのかもしれない。

 


彼女を含め、2期生の面々は、混沌とした欅坂46終盤に加入をしたのだが、欅坂46として表題シングルを歌ったのは、配信でリリースされた「誰がその鐘を鳴らすのか?」だった。

この曲にMVはなく、また、センターもいない。楽曲は汎用的な平和を謳っているものではなあるが、どこか無力感や喪失感の漂う一曲となっている。そこが「欅坂」らしい。「この世の中に神様はいるのかい? 会ったことない」という歌詞からも、「鐘を鳴らしてもらえなかった」者たちの悲鳴が聞こえてくる様だった。

 


その意味では、櫻坂になって2期生たちに鐘を鳴らすチャンスは何度も訪れた。

欅坂を踏襲しつつも新たな方向性を見せた「Nobody's fault」や「BAN」、アイドルらしさを内包しつつ、儚げな楽曲となった「五月雨よ」や「桜月」、そして、欅坂時代にはない、明確な『僕』たちへの批判的なメッセージが詰まった「流れ弾」。

それぞれ個性の強い楽曲がリリースされたものの、欅坂時代の爆発的な人気を得るには足りないピースがあった。

 


だが、櫻坂46となって2年半、欅坂46とは違い各メンバーが表題曲およびカップリング曲のセンターを務め、フロントに選ばれなかったメンバーもライブではセンターを務める機会を自ら掴むなど、一人一人が『主人公』になれる場作りが出来ていた。櫻坂になってからは個々のメンバーが舞台やCM、バラエティ番組に雑誌のモデルなど、外仕事も格段と増えた。

 


その集大成が、「Start over!」である、

 


今作のセンターである藤吉夏鈴は、過去に2曲、センターを務めた楽曲がある。しかし、表題曲は始めて。ちなみに、櫻坂46には一時期「櫻エイト」と呼ばれるシステムがあり、前列の8名は全ての楽曲に、それ以外のメンバーは楽曲ごとに構成されるというシステムを取っていた。

その櫻エイトと呼ばれるシステムに、2期生では森田ひかる、田村保乃、山﨑天と並んで1stシングルから参加していた藤吉夏鈴だったが、3rdシングルの「流れ弾」にて、櫻エイト落ちを経験している。

 


欅坂46に憧れて入ってきたメンバーが多い中で、櫻坂46になったことへの「迷い」がいるメンバーがいないはずもなく。

その中でも、欅坂の『僕』に近い不器用さを持っていた藤吉夏鈴が櫻エイトを外れたのは、単にパフォーマンスが良くなかったから、という理由だけではないものを感じずにはいられない。むしろ、彼女のパフォーマンスは良いと思っていたくらいなので。

 


「やり直す」という意味の曲を引っ張るためには、そんな経験のある彼女にしか出来なかったのでは、と。欅坂で得た経験はもちろん大事だけど、今はもう櫻坂となって新しい道を進んで行こうとしている。そこに、迷いなく突き進む必要がある。

そのことを、この楽曲は強く歌ってくれているのだ。

 


◆「黒い羊」からの脱却

インタビューやクリエイターの言葉は一切読んでいないので違うのは承知の上で。歌詞やMVの演出からは、欅坂時代の「黒い羊」に似た様な演出が見られる。オフィスに見立てたステージでセンターの藤吉夏鈴が自由に踊ったり、小林由依と抱き合ったりするシーンがあったり。それは、「黒い羊」の平手友梨奈のそれを想起させる。だが、「黒い羊」には救いがない。一方、「Start over!」には共に立ち上がる姿が垣間見える。

 


「君は僕の過去みたいだな」

「僕は君の未来になるよ」

 


この歌詞はまさに、その構図を表している。

「黒い羊」の『僕』として、まだどこかに未練を残していた『僕』の救済と、「Start over!」から新しく生まれ変わって戦い始める『僕』の決意の物語なのだ。

 


◆さいごに

夜中に友人から「この曲の文脈を教えてほしい」と言われ、夜な夜なこの記事を書いてしまっが、全容の1%も語れていない。ので、ちゃんと知りたいと思った方は、まず櫻坂46の公式チャンネルで、フルサイズのMVを全て聴いてみてほしい。可能であれば、ドキュメンタリー映画も見てもらえると、より伝わるものがあるはずだ。

 


色々と述べたが、「Start over!」は以下の物語だと思っている。

 


・主人公になれなかった者たちの「決意」

・抱え込んでいた迷いからの「脱却」

・答えがない未来への「覚悟」

 


それらを全て「やり直してやる!」とゼロから始めようとするのが、「Start over!」の全てだと思っている。

 


ファンとしても、欅坂が好きだと公言してくれていた芸能人が、一部をのぞいて櫻坂になって一言も言及してくれなくなったことにがっかりしたことはある。

欅坂として持っていたバラエティ番組のテンションもお通夜の様で、態度が悪いと炎上することもあった。

かつて「けやき坂46」として活動していた「日向坂46」が、彼女たちにしななかった苦悩を乗り越えて人気グループとなり、一方、櫻坂46は乃木坂、日向坂の後塵を拝する状況にもなっていた。

 


そんなグループを応援し続けながらも、どこか欅坂46の幻影を追い続けていた『僕』たちの「救済」の物語でもある「Start over!」。

 


一人でも多くの人に届いてくれれば、と願うばかりだ。

2023年も大和は変わらずすごいんだ

今年こそ、大和はバックアップへ回り、そして、緩やかに引退へと向かっていくのだろう……そう思っていた時期が、僕にもありました。

 


今年は、41試合に出場しており、主に打撃面で、大和の通算アベレージよりも高い成績を残しています。

 


---以下一部成績(カッコ内は通算成績)---

打率:.278(.253)

出塁率:.327(.303)

OPS:.616(.615)

得点圏打率:.462(.290)

代打打率:.333

 


4月5月の調子はあまり良くはありませんでした。しかし、交流戦から調子を上げて、先日は1試合4安打、という試合もありました。

 


なんかこう……嬉しいし、複雑です。最近になって、阪神タイガース前田大和が好きだったんだな、という気持ちに気付いたのですが、少なくとも『打撃でも頼られる』大和は、横浜DeNAベイスターズ前田大和でしか見れないので。しかも、得点圏の鬼、だなんて言われるようになるなんて……ファンとして補足しておくと、大和は阪神時代から得点圏は強かったんですけどね!?

 


まあ、大和が移籍した流れでベイスターズを応援するようになった身としては、「森くん早く定着してくれ〜」という気持ちは大きく、ヤキモキしているところはあります。しかし、試合で活躍する大和を見ると、「まだ大丈夫だよ笑」みたいな気持ちも出ちゃったりして……今年の残り試合の活躍次第では、通算1000本安打も不可能ではなくなるよなぁ……なんてことを思ったりするわけですよ。


で、後にも先にも、ここまで思い入れて応援する選手が出てくるのかな……と思うくらいには、大和を応援していると、胸が熱くなる瞬間があるんです。不思議ですよね。

 

 

 

 


ところで。

今年になっても、大和に関する記事はいくつかありまして。

 


たとえば!

 


DeNA・鈴木尚典打撃コーチ、逆転勝利の起爆剤となった大和の存在の大きさを語る 「みんなに慕われている」

https://www.sanspo.com/article/20230604-ZI4PEEBEBNKXNO3NYF2BEOHACA/

 


大和のツーベースがきっかけとなり、打者一巡の猛攻で4点差を逆転した試合。「みんなに慕われている」と鈴木コーチが述べており、これまでの評価と合わせると、チームの中心人物の一人になっているのか……と。

 


今年のキャンプにキャッチャーの益子くんが参加したり、開幕前の動画にプニキと出たり……。試合にある程度は出ているとはいえ、準レギュラー格の選手としてはチームやフロントからの信頼が伺える瞬間は多いんですよね、ファン目線では。

 


渇望|「横浜頂戦」2023シーズン開幕

https://youtu.be/KPmb36jviEI

 


この動画では、優勝するにあたって必要なことを語っているシーンがあるのですが、大和ファンとして「好きだ!」と思った瞬間が二つ。

 


一つは、プニキから大和と二人でチームをサポートしていきましょう、という話の中で、「一也さんと三人で」と、チームの最年長選手である藤田さんの名前をあげていたこと。

あの発言の真意は僕には分かりませんが、結果的には藤田さんの存在を立てており、ベイスターズファンとしては嬉しい発言だったのでは?と思います。実際、強いチームには経験豊富なベテランの存在は大きいですからね。

 


もう一つは、プニキへ放った「優勝さして」という言葉。プニキとは違い、毎試合レギュラーでは出ないであろう立場である大和が放った、本音めいた言葉。戦っている選手がいう言葉か!?という人はいるかもしれませんが、僕はそれが好きでした。だってそうですもの。出られる試合が限られている以上、毎試合貢献できるわけではない。でも、選手として常に貢献したいという気持ちもある……複雑な心境が読み取れる一言に、これが言える大和が好きなんだなぁと思ったわけです。

 


DeNA・牧秀悟、ポケモンとコラボ試合で白星ゲットだぜ!2安打1打点「勝てて良かった」 - サンスポ

https://www.sanspo.com/article/20230702-4MD6E46KUJJ2RKZVFH7NTTHPUQ/

 


「いろんな形でチームに貢献できる」DeNAに欠かせぬユーティリティープレーヤー・柴田竜拓の矜持

https://baseballking.jp/ns/column/380798

 


そして、他の選手の活躍記事や、インタビュー記事の中にも、大和はしれっと名前が出ているんです。本人は何も語らないのに笑

 


成績だけ見ると単打しか出ず、守備範囲も狭くなり、WARという指標で見れば、大和が試合に出るほどチームへの貢献度は下がっていく……という、一部のファンが「大和を使うな」と言いたくなる気持ちは、わからなくはないんです。

 


バウアー激怒事件がDeNAに呼んだもの 三浦監督「今日でみんなひとつになれた」(デイリースポーツ)

https://news.yahoo.co.jp/articles/ff13a28dbcf084341e3d19dbde959461dc39607d?source=sns&dv=sp&mid=art07ct&date=20230712&ctg=spo&bt=tw_up

 


とはいえ、こういう記事を見ていると、大和の存在はまだまだ大きいよなぁと。6回、先頭にフォアボールを出したバウアーへ声をかけた大和には、前の試合でうまくいかなかった『リベンジ』みたいなものを感じました。

 


あの日、バウアーの陰で怒りを露わにしていた大和。もちろん、自身のエラーや挟殺プレーでの対応に怒っている部分はありつつも、ファンとして感じたのは『あそこで何もしなかった』自分と、バウアー同様に『ああなった状況』への怒りなんじゃないかな、と。

近年のベイスターズは、落ち込まずに前を向いていこうというメッセージが強く、筒香がチームを引っ張っていた頃にあった良い意味での緊張感が薄れているのでは?という指摘はちょこちょこありました。

大和も以前のインタビューの中で、「楽しいだけではいけない」という旨のコメントも出していたはず(言ってなかったら教えてください!!!)。そんな中で、綻びがどんどん膨れ上がったあの試合で、大和なら、どこかで自分が間を入れられたら良かった、とは思っていそうだな、と。自分からアクションしなかったこと、自身も悪循環に飲み込まれたこと、そして、一番切り替えが必要なタイミングで、誰もうまく切り替えることができなかったこと。

全部含めた、怒りなのかな、と。

 


***

 


先ほども言いましたが、後にも先にも、ここまで応援できる選手っているのかな、と思う時はあります。過去には阪神藤本敦士、西武の星野智樹岡本篤志……という選手を応援してきましたが、大和は特別だなぁと。

 


圧倒的な守備力はありつつも、打撃ではアドを出せなかったが故に、レギュラーとしての期間は短かった……ただ、かつてのCSや日本シリーズで見せた数々の攻守に、移籍後に見せてくれた圧倒的な勝負強さの数々……4度のサヨナラに、昨年のCSで放った決勝打。

 


なんかこう……呼んだら駆けつけてくれるヒーローみたいですよね。ただ、3分しか持たない、みたいな笑

 


大和にはプレー含めて、儚さ、みたいなものを感じて。いつか終わりが来る、その時までに、一つでも前に進まねば、という。なぜそう思うのかはわかりませんが、昨年公表した病気の存在を踏まえると、あながち間違いでもないのかな、と。

 


だから、大和がプロ野球人生を終えるまでは、やっぱり目が離せない。その後のことはその後考えるので、まずは大和が目指す優勝を果たしてほしい、それに尽きます。

 


願わくば、その中で「優勝さして」と言った大和が「大和さんのおかげで」となるようなプレーが、残りの試合で一つでも多く見られたらな、と。

 


大和を追いかける一ファンの今の気持ち、でした。

 


【実況・小野塚康之 時代を超える名調子】高校野球人国記(46)鹿児島県・前田大和 〝大和が絡むと見せ場になる〟攻守のセンス抜群 荒れたグラウンドでもハンドリングよく対応

https://www.zakzak.co.jp/article/20230605-VCPSPOIANROWTAH5X4OFNNEJ4A/

 


最後に、この記事は大和ファンには読んで欲しいので、ぜひ!

世にも奇妙な物語 23.夏の特別編

世にも奇妙な世界、23.夏の特別編が放映されました。

超楽しかった!

 


以下、見ながら感じたことの箇条書きに、感想記事、あと、今回の感想記事を書くにあたって自分が決めたことをまとめております。

熱があるうちに!と思って書いたので、推敲や誤字脱字修正はあとーでします。すみません!

 


***

◾️見ながらの感想

 


【お姫様クラブ】

・『公園デビュー』の時のように、鈴木保奈美さん役のお母さんが子供を強引にクラブへ連れて行こうとする感じ、◎

・灯りのある演出は個人的に好き(奇妙作品、家やオフィスの灯りを消して撮ったりしてることが多いイメージなので)

・自分の叶わなかった夢を、子供に『叶えさせよう』としちゃう感じ、◎

栗原類さんの王子様感最高

・お母さんのヤバ感、◎

・こんなお父さんにはならないようにしよう……って思わせる感じ、◎

・色々お母さんが辛くなっちゃう展開、◎

・現実とお姫様の境目がなくなっていく感じ、◎

・この惨めな展開、レディコミとか女性向けに属する作品へ慣れていない人だと、あんまり理解出来なかったりする……?(とか勝手に予測)

・2000万円!?!?(お母さん用のお姫様クラブ入会費)

・松尾さんの怪しい演技、◎◎◎

・まゆみちゃん(娘さん)グッジョブ!!!

・そのまま思い出はしまっておいてください……

・黄色い花……花言葉気になる

・小林家ワンダーランド笑

・うわぁ…………(急速なブラックな展開)

・ああ……やっぱり……(冒頭の保険料の2000万円はお父さんの病気と繋がるのか)

・この支配人は何者か気になってきた(ストーリーテラータモリさんみたいなもんかね)

・このイヤーな終わり方よかった、好き

 


【小林家ワンダーランド】

・ついつい頑張りすぎちゃいそうな青年、◎(これは僕の性癖です)

・妹が高校生で反抗期なのはよくあることでは???

・このお兄ちゃんはなんで家族で一緒に……がいいんだろうね(率直な疑問)

・え?(小林家ワンダーランド、が紹介された時)(その時の中川大志くんと同じ感想)

・お兄ちゃん置いていかれてるの草

・お父さん窓際すぎる

・税込5000円の入場料

・先に決められていて会社辞めろと言われるお兄ちゃん、◎

・ツッコミを視聴者にさせる感じで進んでいくの、なんか新鮮

・来るんだ、からの邪な妄想(そうはならんやろ、というツッコミ)

・休職届にしてるの偉い

・来ると思っていたパロディ

・お兄ちゃん面倒事全部押し付けられてるの草

・小林しかないだろって言いたくなるネームプレート

・最適ルート確立されるの草

・女の子の撮影シーン、オタクっぽい人で固めなくなったの時代を感じる

・先輩の「怖い系のアトラクション……」はフラグかな?

・お兄ちゃんの下心あるけど真面目さが勝っちゃう感じ、◎(性癖です)

・小林のカチューシャグッズ化しよう(提案)

・マジでお兄ちゃん冷ややかな目されてるのだんだん可哀想になってきた(随所に感じますね)

西園寺家……あの大富豪の……!?

・スリル満点なのは西園寺家らしい

・chatGPTの未来をお父さんに聞くのは草

・お母さんの身体の負担が大き過ぎる

・トーさんのマネーハントは草

・スモールフォレストマウンテンも草

・ジャンジャンバリバリアヤーネはもっと草

・「こういうの好きな人いると思う」はもう面白くなかったと同じなんよ

・なんやかんやお父さん頼みの小林家

・「自慢できる家族じゃなくなってた」にお兄ちゃんのエゴを感じるよね(それがまた好き)

・このお兄ちゃん自分のスペック不足を大量の時間と真面目さと人の良さだけで補ってきたタイプでしょ(勝手に考察するな)

・また行列が戻ってる!?

・先輩も小林カチューシャつけて戻ってる!?

・お父さんやはりアイデアマン

・絶対ええ話にならかい展開のええ話感、◎

・ポツンと椅子があるの嫌な予感

・拘束されるの嫌な予感

・「このアトラクションは写真撮影禁止……」のくだり、三石さんの『七色の声』が一番発揮された瞬間

・会社の先輩、結局のところタツヤくん(お兄ちゃん)のこと人として見てない説

中川大志くんの演技全てにおいて◎◎◎すぎるでしょ

田口浩正さんがいるとスプラッターな感じが似合いますね(恐怖のカラオケ歌合戦)(あれもB級ホラーとして素晴らしかった)

・どういうアトラクションか明言されてないけど『殺さないようにアレを続ける』って考えるとエグいアトラクション

・後で全部まとめるけどこの作品は世にも奇妙な物語がどうとか置いといて性癖ブッ刺さりでした。ありがとうございました。

 


【視線】

松木監督の絵作りってわかる感じ、◎

・目薬綺麗にいれれていいなぁ……

・気味悪く視線が集まってくる感じ、◎

・実は「見られている」って思い込んでる?(生徒たちとのやり取り)

・こんな時間に電話してくる会社受からなくてよかったよ!!(明らかに夜の描写)

・天気の子の人!!!(目薬つけてる仲間の青年)

・ずーーーっと見てくるやんみんな

・奇妙なアイテムパターン(つけすぎたら良くないとかパターン来ないですか???)

・ケーキ食べるのハードルたかっ

・『一種の錯覚』実際には見ていなかったパターン

・今回のエキストラの人たち大変そう(エキストラ参加経験者)

・僕だって推しに見てもらいてえよ

・残り少ないね目薬(誘い水)

・目を離しちゃったから……

・妹のコンプレックスあるよね……お姉ちゃんはいいな……とか

・てか池田エライザさん目薬さすの上手すぎね???

・お母さんが見てくれてる!?!?

・可愛い声のお母さんね

・お母さんに見てもらえてよかった……のかな?

・見られることに喜びを覚え始めた主人公

・鏡に映った人間の視線はノーカンなのね

・誘い水で見た展開!?(目薬がない!)

・この目薬にのめり込んでいく感じ、◎

・どこにも売ってなくて辛い……タクマさんの本性が出てきた……(このサイコな感じ、◎)

・目薬が……潰れちゃった……!

・(説明しすぎ、というより、そういうドラマ)

・目薬なくても、お母さんは見てくれてるよ

・アンナさん、そんな悲しいこと言わないで……

・和解できるのか???この家族は大丈夫なんか???

・ええ話や〜〜〜

・ええ話ちゃうんか〜〜〜

・視線が集まってくる!?!?!?

・うわぁ……(恍惚)

 


【虹】

・いい話であってくれーっ

・西畑くんマジお顔が強い

・お? カメラ覗いたら人がおる?

・勝手に女の子撮ってたら変態やぞ???とか思ってしまった

・タイトルのフォントがモノクロな感じ、◎

・虹のふもとに来れたで!

・やべ、やばいところ見られた

・ってか西畑くんまぁ一言も喋ってないぞ(それがまた良い)

・ふぁっ!? 結婚しとる!?

・もうここからブラックな展開はやめてよ!

・おじさまになってる……パートナーにも先立たれてしまっている……

・だめーっ、早まらないで!

・ダイレクトに虹がかかっててちょっと笑った

・うおおおお……(余韻)

 


◾️各作品の総評

【お姫様クラブ】

トップバッターとして、コミカルさはありつつも、お母さんの悲哀やお姫様への異常な執着、現実と妄想の境がなくなっていく感じなど、まとまっていて面白い展開・演出だと感じました。

鈴木保奈美さんの演技は良いですね。一般庶民になさそうな気品と、くたびれた現実味がめちゃくちゃマッチしていて……。

せっかく、娘さんからのお花と手紙のプレゼントで目を覚ましたかな……と思ったのに、やっぱり……となったあの展開は、わかっているのに厭な気持ちになりましたね。

僕の好きな、人間の嫌〜な部分がじっとりと染み出してくるような作品でした。ありがとうございます。

 


【小林家ワンダーランド】

いやぁ……これは評価は割れるだろうな、という感想になりますが、僕は(僕の性癖は置いといて)好きでした。

21.秋の『優等生』をふと思い出し、僕は勝手に『令和奇妙のブラック系』ジャンルの方向性を示してくれたんじゃないかな、とか思いました。

後述の『視線』は、『世にも奇妙な物語』といえばこれ!!!って思わせてくるものがあったのですが、『小林家ワンダーランド』については、奇妙っぽくない、って意見もわかる感じがしたんです。

 


これ、言語化がすごく難しいんですが、「自分の家がテーマパークになる」という最初の設定を受け止められるか、そうじゃないかで変わってきそうだなぁと。過去だと『ママ新発売』という作品が全てを狂わせはするのですが、大枠がぶっ飛んでる代わりに、展開は奇妙作品っぽいのがかえって高評価なのかなと。

対して、本作は『日常に潜む奇妙』を逸脱しているように感じるのかな、と。『ママ新発売』はぶっ飛んだ世界観に見せかけて、その世界観に潜んでる奇妙さ、という意味では納得できるのが、今作だと「テーマパークになる」ってのがそもそもあり得ないって考えた瞬間から入り込めない気がするんです。

 


とはいえ……。

小林家……おそらく4作の中で一番バズりましたよね?

シリーズを続けていくにあたり、今の時代に合った作品が1つでもある、ということは、割と必須要件なのでは?と思っています。自分の年齢の世代だと『密告ネット』や『イマキヨさん』なんかは間違いなく「大バズり作品」なんですが、今の時代にやっちゃうと滑るタイプの作品でもあるかなと(密告ネットは、そういうものが顕在化している以上、やってもしゃーない感じになりますしね。イマキヨさんは書いておきながら言語化できてないです、そう感じているだけで今でもバズるかもしれない)

 


僕がこの作品に感じたものがあるとすると、演出の仕方や出演されている方の印象も混ざってとは思いますが、二次元っぽいんですよ。

 


例えば、お兄ちゃん役の中川大志くんが、家族のアトラクションの内容に突っ込むシーン。映像作品であれば、突っ込みって被せていっていいところを、一つ一つ待って突っ込んでいくあの撮り方、アニメだと良くある印象なんですけど、ドラマでは新鮮な気がしたんですよね(最近ドラマ見れてないだけからかな……?)

 


パロディやテンプレ感のある家族構成、過剰とも言える明るめの演出……ドラマっぽくない雰囲気を醸していましたが、ネット漫画でこれを読んだら、『実は結末がやばい漫画』とかで紹介されそうじゃないですか……?(違うかな?)

 


色々必死に言語化しようとしていますが、多分フリークの方々が今頃必死こいて何回も見て解釈しようとしてるんじゃないかなと思います。僕もまだ全然解釈し切れてませんが、もう一回見ようと思います。

 


ちなみに、この作品、お兄ちゃんの「家族や会社の人から相手されていない感じ」を理解できた人、出来なかった人でも評価が割れそうだなと。

 


また、作品内で出てきたSNSの自分勝手なレビューから、放映後の我々の感想合戦も含めて、ポップなカラーに隠れたドロドロの皮肉さは(意図していなかったとしても僕には感じた)無くしてほしくないなと。ポップな作品じゃないと出ないブラックさって絶対あるので。

 


いやぁ……それにしても、改めて自分の性癖を自覚しました。アニメじゃなくてよかったわーっ。

 


【視線】

もう、語らずともこれがフリークの見たかったやつでしょ!?!?!?ってなりましたね。

奇妙なアイテムを使ってちょっぴり調子に乗り始めた主人公が、一つ問題に遭遇し、けどそれをきっかけにアイテムに頼ることをやめようとできました。めでたしめでたし……にならない!

っていうブラックオチ。

お手本オブお手本。でも、しっかりと筋が通っている作品は、どんなパターンで見ても面白い!

あと、最後の演出も良かったですよね〜〜〜

今回の特別編が「眼差し」をコンセプトにしていたということもあり、かなり気合の入った一作になっていたとは思いますが、それが顕著に、かつめちゃプラスに出ていたなと。

こちらも、SNS時代に良い感じの風刺が効いていて良かったですし、古き良き奇妙の味がする名作なんじゃないかなと思います。後でもう一回見ようっと!

 


【虹】

ある意味これが今回のMVPですよ。

3作ブラックが続いて、今回は感動路線だろうなぁと思っていたら、主人公が一言も喋らず終わってそれどころじゃない!?!?!?

正直、細かいところは全部置いときます。その一点に、なんかクリエイターのこだわりを感じたんです。

 


最近は、説明しすぎなんじゃ?というフリークの意見がちらほらあって、僕も感じてはいたんですが、じゃあこれはどうですか?と差し出された感じがして。

 


それこそ、令和の時代に、レギュラー放送回にはこんな作品もあったんだよ、と見せられているような『錯覚』がありましたよね。平成レトロですよこれが。

 


この作品については、面白いとか、そういう感情で語りたくないな!って思っちゃったんです。話を聞きたい、どうしてこんな構成演出にしたんですかって!その意図がどうあれ土下座して「ありがとうございました!!!」って言いたい。

 


本当に、なんか上手く言えないけどすごい作品だな、と思いました。

 


【全体を通して】

19.秋や22.夏など、個人的に全体通して好きな回は多くあった令和奇妙……ですが、僕は現時点では、23.夏は一番好きな回になりましたね。

 


・原作付きでしっかりまとまっていた「お姫様クラブ」

・突拍子もない展開にポップとグロさが内包された「小林家ワンダーランド」

・奇妙な世界とはこれ!を見せつけてくれた「視線」

・34年経っても挑戦的な見せ方をしてくれた「虹」

 


バラエティ豊かで、かつ、熱の入っている4作品だったなと。テラーも物語と地続きになっていて良かったですし。

 


今回もスタッフの皆様、誠にありがとうございました!!!!!!

 

 

 

***

最後に。

 


僕が今回、【好き】だという思いを多く書いた理由を後述します。

 


僕が奇妙作品を認識した、最初の作品は、04.春の「Be Silent」でした。後々、評価の高い作品と知り、自分も見ていて嬉しかったら記憶があります。

一方、同じ回で放映された「誘い水」という作品は、僕としてはトラウマ作品なのですが、意見はわりと割れていた印象で、どこかで、「自分の感覚は間違っているのかな」と感じたことがあります。とはいえ、その当時はさほど気にすることはありませんでした。

 


それから、奇妙を好きになるとともに、ファンの方々が評価をつけているのを見て、自分もそういうことがしたくなり、感想記事をつらつら書いていました。時には批判も書きましたし、「この人の脚本はつまんね」「この人の演出は嫌い」みたいなことも書いたなぁと……。

 


ただ、先日、世にも奇妙な世界に関する感想動画で、「缶けり」という作品が、トラウマ級の作品として紹介されたのを見たんです。

 


僕はそれが嬉しかったと同時に、あることを思い出しました。

 


それは、「缶けり」の周囲の評価が、当時はさほど高くなかったと感じていたことです。

 


当時、落合・星両監督の不在による作品のクオリティ低下を囁かれている時期であり、その監督の演出の方が面白いだろうな、という旨の意見があったのを覚えています。

今思うと、他人の意見なんだし……って思えるんですが、当時はそう思えなくて。

 


で、今回は感想書くときは、好きだと思った部分だけ書こうと決めていました。

 

 

 

 


それは、今回、自分が好きな作品があり、感想を巡っていたところに、過去の僕と同じ気持ちを抱く人が出てしまったら、と考えるようになったからです。せっかく「面白い」「好き」と思ってくれる気持ちがあったなら、その気持ちに共感できる「窓口」があってもいいのかな、と思ったんです。

 


もちろん、僕にとって今回がたまたま、好きになれる要素のあった特別編であることは大きいです。僕にとっての、not for meな作品だった場合は、同じようには出来なかったでしょう。

それでも、せっかく奇妙な世界に興味を持ってくれた人が居たなら、「そこ面白かったのわかる!」って良い気持ちになってもらいたいんです。

 


そこから、よりいろんな人の評価に出会い、「好きじゃない」「面白くない」という感想にも出会ってほしいな、と。

特にこのジャンルは、自分含め熱量の高いファンが沢山いますから、もっとこうした方がいいんじゃないか、という意見がたくさんあって面白いんです。

たまたま、この感想記事を見てくれた新規の方がいらしたら、Twitterで作品を考察している方や、YouTubeのレビューを見たり、奇妙シリーズのファンサイトに行ってみてください。熱量のある方たちのレビューを見て、「そんな視点あるんだ!?」を味わってほしいので。

 


それでは、本記事はここまでとします。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました!

進塁打と大和おじさんの得点圏の強さについて

ノーアウトで、ランナーは一塁。

ここで次のバッターがランナーを進めずにアウトになった時、解説やファンで「せめて進塁打を打つべきだった」と言う方がいます。


僕はかねがね、この言葉に疑問があります。


進塁打を打つことが目的になっていないかと?

 

以下、特にデータには基づかない、僕の持論を聞いてほしいです。


◆ 進塁打を目的にしてはいけない

進塁打のメリットは、アウトになってもランナーを進められることです。僕も、ランナーが進められないよりは進んだ方が得点のチャンスへ繋がると考えています。

そして、そのメリットを知っているが故に、ファンの中では、選手がランナーを進められずにアウトとなった時に「進塁打を打てなかった」選手を批判する様が散見されます。


ただ、よくよく考えてほしいのです。

同じようなシチュエーションで、相手バッテリーが考えることは、原則その逆ではないか?と。

2ストライクまで追い込んだ時、右打ちを意識しているバッターに、堂々とアウトコースへ投げるバッテリーがいるでしょうか?(いるかもしれないけど)

そうなった時、無理やり右打ちをして進塁打にすることが正しいのでしょうか?


ちょうど、いい動画があったので、ここに載せておきます。


【アカイバ対談#7】落合監督編(2)「収穫は井端のダブルプレー」の真相 https://youtu.be/Aaw5SOOTJOQ


この動画は、中日ドラゴンズでプレーされていた井端弘和氏が、ある試合で併殺打となるサードゴロを打ったことに対して、当時監督だった落合博満氏から「収穫は井端のサードゴロ」と言われたことについて語られております。


動画の中で井端氏は落合氏から「(井端は)ランナーが一塁に居ると最初から右打ちしか考えていないので、相手バッテリーからすると楽」という趣旨の指摘を受けたと語っております。


結局、進塁打を打つことが目的となってしまうと、仮にランナーを進められたとしても、相手バッテリーにアウトを簡単に取らせる術を身につけさせてしまう可能性が上がってしまうのです。


また、「ワンアウト一塁」と「ワンアウト二塁」を比べたら、後者の方がいいだろ、という意見はもっともですが、ならば「ノーアウト一二塁の方がいいじゃん?」という話でもあります。

バッターが進塁打を打つことだけに必死になってしまうと、「ノーアウト一二塁」を生み出すシチュエーションが減ってしまいます。


そのため僕の考えとしては、結果的に進塁打になればラッキー、くらいのイメージで居るのが理想的で、進塁打を目的にすることで他の得点チャンスの方法を潰えさせないことの方が、目的に据える優先度としては高くなるのでは?と思います。


石井琢朗氏の言葉を正確に理解する

現在は横浜DeNAベイスターズのコーチとして、各所から絶大な信頼を寄せられている石井琢朗氏が、かつて広島東洋カープのコーチ時代の指導についてインタビューを受けている記事があります。


貧打を変えた石井琢朗コーチの教え。カープ打線は7割の失敗を生かす|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/npb/2017/09/22/___split_73/


石井琢朗氏も、ランナーを進めるバッティングを意識することの重要性を解く識者のお一人ですが、一方で、それありきになってはいけない、という考えもお持ちの方です。

インタビューにもある通り「後付けでも構わない」という発言には、「進塁打を打つことが目的になってしまわないように」という意図があるのでは、と推測できます。


進塁打を評価するファンの中に、「右打ちをしなかった」ことを指摘するファンも多く存在します。ただ、進塁打の目的を掘り進めていけば「同じアウトになるなら、ランナーを進められた方がいい」という思想に基づくものであり、ボテボテのサードゴロでも、深いファールフライであっても、ランナーを進められたらOKではないでしょうか。

であれば、「しっかりスイングする」だったり「必ずバットにボールを当てる(三振しない)」こと自体が目的になるのでは?と僕は思うのです。(そもそも、右打ちを成功させて併殺打になるシチュエーションもゼロではないし、そういう人が右打ちゲッツーに「なんでそのゾーンを右打ちするんだ」って言っているのを見ると辟易しますね……)


もちろん、シチュエーションによってはランナーを進めるバッティングはとても重要になりますが、1回表のノーアウト一塁でめちゃくちゃ打ちやすそうなボールを擦って進塁打にすることが「成功」にならないような空気作りが必要になってくるのではないかなと。特に、貧打のチームほどこの辺りの意識は重要なのでは?と感じます。


◆ 何事にも意味があることを忘れないように

ところで、僕が現役選手の中で最も大好きな選手である前田大和さんは、ファンから得点圏の鬼、と評される勝負強さの持ち主です。


ただ、メンタルが強いからチャンスに強いのではなく、配球を読み、狙いを絞っているが故の勝負強さであることは、本人のインタビューからも推測できます。


「パパは大谷選手と対戦したことあるの?」FA移籍から5年、DeNA大和35歳が「(現役生活)まだまだ先は長い」と語る理由

https://number.bunshun.jp/articles/-/855402


ファン目線で見ると、「大和は得点圏に強い」というよりは、「得点圏になると、大和が得意なゾーンにボールが来やすい」のでは?と思っています。


データで見るとそこまでではありましたが、タイムリーを打っているシーンをいくつか見ていると、外角の半速球(スライダーやカット、チェンジアップ)系やインコースをうまく打っている印象がありました。

 

印象的だったのは、2022年の阪神とのCS2戦目。


【チャンスに強い】大和選手明日に繋ぐ、意地の一打!|2022.10.9の注目シーン

https://youtu.be/hD1D6eImib4


確か、追い込まれていた展開だったと思いますが、構えがインコースに入った時「打つぞ!」と思った記憶があります。そして、その通りに大和選手が打って、テレビの前で歓喜した記憶もあります。


DeNA】大和が同点タイムリーも逆転ならず延長10回引き分け<9月8日 DeNA阪神

https://youtu.be/E7fQdnQd71k


また、過去の一戦でも、インコースに構えた球が中へ入って来たところをタイムリーにしたシーンがありました。

この二つの動画を見ていて

・相手が左ピッチャー

・1点が重要な場面

・けど2点目は取られたくない

・大和選手は長打のない選手

という情報を元に推測したのは、アウトコースを右打ちされて最悪2点返るより、インコースを引っ張られて1点で済む方がマシ、という理論で相手バッテリーは配球したのではないか、ということです。

もしそれが正しければ、大和選手はインコースに狙いをつけていたため、入ってくるボールに反応できた、ということになるのでは?と思っています。


進塁打の話に立ち返りますが、その状況や選手の調子、展開を見た上で、選手の打った打球に想いを馳せてみると、結果が出なかった凡打にもなにか意味が見つけられるかもしれません。

批判することはダメではないですが、その前に一度、凡打の意味に立ち返るのは如何でしょうか?

2023年の大和と、大和の幻影を追いかける彼のファンへ

2022年。

前田大和というプロ野球選手は、未だ横浜DeNAベイスターズの正遊撃手として君臨していた。

 

勝負強い打撃と、安定感のある守備力で地位を築いてきた大和は、シーズンオフに持病があることを告白。一方、チーム内での信頼は厚いようで、自主トレにはチームの顔である牧秀悟選手だけでなく、益子京右捕手が加わった。

オープン戦でも勝負強い打撃は健在。ファーストの守備をこなすユーティリティ性も見せ、今年も大和の存在はチームにとって大きくなると予想される。

 

***

 

大和はインタビューで多くを語らない。故に、他の選手から伝えられる大和のエピソードや評価には、ファンとしては常々振り回されている。

ただ、今の僕が、今の大和の好きなところが何かと問われたら、「多くを語らないところ」なのかもしれないと思ってしまう。

 

昨年の大和はプレー以外でも注目されることが多かった。

ヤクルトとの試合で、相手ベンチからの野次に応戦したり、CSでの一戦では逆に野次をあげたと批判されたり。

その姿を「野球選手としてどうなのか」という論調があるようだが、僕の中では、むしろあの感情が「前田大和」という存在なんだろうなと強く理解した。

特に、CSの一件では関根大気選手がフォローするツイートを発したことも踏まえると、言い方はともかくチームとしては、大和の強い感情が伝わっていたのではと類推される。

 

***

 

大和ファンははっきりいって、めんどくさい人間が多い気がする。

 

年間でホームランは打てて1.2本。

昔ほど走れなくなり、守れなくもなった。

勝負強いとはいえ、3割は超えない程度の得点圏打率

 

そんな選手を応援する理由は。

 

「理想の姿になれなかった自分」を投影しているからなのかもしれない、と。

 

類稀なる守備センスを持ちながら、野球選手としては非力な体格でパワー面で苦戦し、内外野をたらい回しにされた日々。器用貧乏で終わりかけた野球人生はDeNAへの移籍によって持ち直しはしたが、長くは続かなかった。

 

要は、大和が活躍してくれることで、どこか不完全な自分が報われる気がするのだ。だから、2019年のようにショートでレギュラーを張った大和を自分のことのように嬉しく思えたし、ショートでゴールデングラブを取らずに現役を終えるであろう事実に打ちひしがれてもいる。

 

そして、現実と同じように、思うようにいかない大和の姿に怒り、呆れるのは、おそらくそれが、燻って天に唾を吐いている自分に返ってきているから。

 

そんな気がしてならなかった。

 

***

 

ただ、大和は常に、大切なことを教えてくれている。もちろん、多くは語ることはない。強いて言うなら、規則正しい生活が大事だと言う。

 

結局のところ、全てにおいて正しいも間違いもなく、数字的な理想は個人の目標でしかない。ファンが理想を押し付けていることが、そもそもの間違いだった。

 

大和は、自分の野球人生が残り少ないと言う。

それなのに、昔は守備がうまかったのに、とか、もっと冷静に振舞ってほしかった、とか、僕は大和に理想を抱き続けていた。

 

それは、もうやめにした方がいい。

それでは、僕が応援しているのは、「過去の大和の姿」でしかないのだから。

 

過去のブログでは、ゴールデングラブ1000本安打を目指して欲しい、と書いたことがある。その時の本心ではあるが、今は違う。

 

前田大和という野球選手が、全てをやりきるまで。

ただ、その勇姿を焼き付けたいと思う。

 

そして、僕と同じような幻想を抱いていた彼のファンが、夢から覚めることを願っている。

 

最後まで追い続けるのも、ここで追うことをやめてしまうのも、ファンの特権だ。

ただ、前田大和という、大和ファンにとってかけがえない存在のノイズにはなってほしくない。

 

それだけを切に願い、大和と今年のDeNAベイスターズの活躍を期待しようと思う。

 

いい夢を、ありがとうございました。

世にも奇妙な物語 22.夏の特別編 総評

世にも奇妙な物語 22.夏の特別編
終わってしまいましたね…

総評を書く前からテンション上がってます…今回めちゃくちゃ面白くて、久々に「大満足」の回になりました。

感想は熱いうちに…ということで、各作品について総評を述べていきます。

 

【オトドケモノ】
先日「面白いけど『奇妙』として見ると物足りないかも」と記事を書いた作品です。
なお、原作が「つまらない」と思っているわけではなく、一つの作品としてはめちゃくちゃ面白いけど、奇妙マニアが唸る作品になるにはもう一味あると…というのが僕の所感でした。

ドラマ版は、中盤まではほぼ原作準拠。後半はオリジナルの展開でした。
一話目として見た印象は「結構面白いじゃん!」だったのですが、後続の二作の狂気っぷりも相まって、相対的に見れば大人しいところに落ち着いたかな、と。
また、マニアの目は誤魔化せないというか…脚本や演出の細かい粗は見えてしまったので、消化不良は否めませんでした。

◇放映時間の長さ問題が露見した作品
後続の『何だかんだ銀座』『メロディに乗せて』が良かっただけに、『オトドケモノ』は冗長さが際立ってしまいました。Twitterでは、「演出がタルかった」と呟きましたが、そうせざるを得ない状況だったのかな、とも。
以前もブログには書きましたが、四話すべての放映時間のバランスは、もう少し均等にしてほしいな、と。『電話をしてるふり』くらいの短さがちょうど良かったりもするので。

憶測でしかありませんが、「パートナーが主人公を裏切った」オチで止めておきたかったのが制作側の本音だったりしないかな、と。オチを付け足したうえで納得感のあるエンド、という意味では、あそこで終わっておくと「いいじゃん!」になったはず…では?

◇「納得できない」要素はなるべく避けたい
実は、先日の記事で「主人公がお姉さんに変わって配達員になる」という展開もアリなんじゃないか、と僕は書いていたんですが…っぽいオチになりましたね笑

kerokerokarol.hatenablog.com


僕はあのオチ結構好きでした。主人公の復讐、とまでは行かないけど、抜け駆けしたパートナーからすると、ゾッとしますよね。

ただ、配達員のお姉さんが沢山居るという演出は個人的には無くて良かったです。
アレをしちゃうと、主人公が配達員になる意味が一気に低くなっちゃいますよね。サービスを運用する会社が、わざわざ主人公を雇うメリットもわかりませんし。そこの種明かしをせず、元パートナーの元に配達員として舞い戻る…という展開であれば、もう少し印象は変わったかな、と。あれで主人公が「異空間から出られて良かった」という起点を効かせたアイデアになるかと言われたらそうでもありませんし。復讐のために「俺と変わってくれないか」ってニュアンスの方が、しっくり来たかもしれませんね。

また、離婚するくだりも、二人は離婚届をどうやって出すのかなとか思っちゃったりして…まあ、見てる最中はパートナーが「嫌なやつだなあ」と思ってたのでそんなに気にしていなかったのですが笑

先日の記事と反することを書きますが、原作はほぼ納得感のある展開であり、オチへの言及も「『奇妙』だと飛び道具感出ちゃうかも」くらいの気持ちだったので、そういう点では、原作の方が面白かったかもしれませんね…。

◇1話目としてはお手本のブラック系作品
とはいえ、世にも奇妙な物語には必要なブラック系の作品が初っ端から登場するのは良いですね…!
北山宏光さんをはじめ、演者の方々は最高でした。
あと、この手の作品で気になっちゃうアプリのデザインもシンプルで気にならなかったので、同系統の作品はこの作品を基準にして作って行って欲しいなあ、なんて思います。

 

【何だかんだ銀座】
各所から「問題作」なのではと声が上がっていた一作。箱を開けてみれば、令和奇妙断トツの名作でした。

シュールコメディで進んでいくのかなと思いきや、最後の一味が中々パンチがありまして…。全部含めて『世にも奇妙な物語』というブランドでしか叶えられない作品だと思います。見てない人は、今すぐTVerかFODで見てください…と言いたいところですが、TVerの方は終わっちゃいましたね…。

◇ペットは正しく飼いましょう、というお話
それが、ニホンオオカネモチ、という突拍子もない存在に変わったことで、全部可笑しくて笑ってしまいました。
で、この作品、僕が名作クラスに押しあがった理由は、ニホンオオカネモチ(会長)が大人になった主人公を飼う(働かせる)側になり、立場が逆転する…あのオチだと思っています。
もちろん、シュールコメディで突き通し、最後は再会してハッピーエンド、でも、十分まとまっているでしょう。しかし、立場が逆転した瞬間、物語に散りばめられていた点が線になったんですよ。
良く考えてみてください。ペットを捨てた、という点を見れば、あのオチって因果応報な展開としてはピッタリなんですよ。ニホンオオカネモチという存在が、そういう概念を忘れさせただけで。
また、「悪いのは親の方では」という指摘も当然あると思いますが、会長の視点で見れば、主人公を我が物にするのは、ある種の人質とも取れるなあと。この先の展開を考えると、結果的に主人公の両親への復讐も叶えられそうなので、僕としては納得できるオチではありました。

◇有田さんと植田監督でなければ成立しなかった
ただ、この作品って、難しいポイントが随所にあったなあと。

まず、「この作品は突拍子もないシュールコメディですよ」と持っていくに当たって、配役は最重要課題だったのではと感じています。
針の糸を通すような難しいテーマの中、「ニホンオオカネモチ」役がくりぃむしちゅーの有田さんだったのはベストアンサーだったなと。
予告の際、「変な作品を」「有田さんが主演でやる」というだけで、マニア的には期待感が上がりました。芸人さん主演回は、僕の思う限りでは大当たり回が多いイメージですし(最近だと、板尾創路さんが主演されていた『ソロキャンプ』とか)。また、有田さんならドラマにもしっかりハマってくれるだろうなと。演技が下手な方がやっちゃうと、それはそれで残念感が出ちゃうのでね…。

とはいえ、作品としてはニホンオオカネモチをどう演じさせるか、が鍵を握っていました。変に喋らせるわけにはいかないし、かといって、動きが大きすぎると過剰過ぎて白けちゃう。最後に喋らせる展開についても、「株主総会がある」等、「ニホンオオカネモチ」自体が何かしらの社会生活を送っている事前情報があったので許容出来ましたが、それがなかったら「どうして喋らせたんだ」と納得いかない展開になりそうだったな、と。

しかし、実際見てみると、ストーリー・演出共に難しいところをクリアしているように感じました。
突拍子もない展開が「さも日常にありそう」に感じてしまう導入。
良い話になりそうな展開でありながら笑ってしまう設定の強さと小ネタの数々。
そして、それまでの展開を大きく覆すブラックなオチ。
令和奇妙の代表作『恋の記憶、止まらないで』に負けないパワーがあったなと。

で、こんなじゃじゃ馬作品を飼いならしたのは、植田監督だからこそだとマニア的には感じております。

◇オチのどんでん返しと納得感は令和版『おばあちゃん』
世にも奇妙な物語』シリーズでは「オチにどんでん返しが来る」作品の印象をお持ちの方は多いはず。僕等世代(30歳前後)だと『おばあちゃん』という作品が、それの代表かなと思います。
この作品、病床に伏していたおばあちゃんとその孫が身体を交換し、おばあちゃんの願いを叶えるために互いに奮闘する感動的な作品…かと思いきや、最後の最後でとてつもなく後味の悪い展開となる、名作中の名作です。

ただ、『おばあちゃん』以降、どんでん返しを狙おうとして、それがぴったりはまらない作品がちらほら現れ…「どんでん返しって難しいんだな」という感覚がファンの間には流れるようになりました。
『何だかんだ銀座』は、『おばあちゃん』程のインパクトを残したわけではありませんが、「感動物で終わらせといて良かった作品」という評価にならなかったのは、『おばあちゃん』同様、復讐する側に復讐してしかるべき材料があったからだと思います。

オチに失敗した作品、という意味では前回の秋の特別編の『ふっかつのじゅもん』が挙げられるかなと。
セーブデータが消えることで、お互いの記憶が消し飛んでしまうギミック自体は理解出来たのですが、ストーリー上でギミックを示唆する展開がなかった(あった場合、それが上手く伝わらなかった)うえ、感動的な展開が完了しており、主人公が罰を受けるような展開にはなっていませんでした。ドラクエとのコラボ作品ということもあり音楽の使い方は絶妙で、上手くやればトラウマ級の作品になっていたかもしれませんが、これも結局は「オチに納得のいかない」作品止まりでした。

その点で、『何だかんだ銀座』のあのオチは「ブラックなオチキター!!!!!」と、後味の悪さに反してめちゃくちゃ興奮してしまいました。
今後も、どんでん返しは欲しいですが、「納得感のある」オチを大前提に、ストーリーをくみ上げてもらえると嬉しいなと思います。
(とはいえ、想像できない突拍子もないオチも大好きなんですけどね。「期待」さえ裏切ってくれなければ、何でも来い!です)

 

【メロディに乗せて】
衝撃の問題作の後に登場した、これまた問題作。
この時点で胃もたれがやばかったです笑

◇まとまりのある「アホらしさ」
企画会議中に笑点のBGMが流れたり、主人公が襲われそうになっている展開でドラえもんのBGMが流れたり。
『何だかんだ銀座』に負けず劣らずの展開がたまりませんでした。
とはいえ、これも主人公が抱える病気(脳内メロディ症候群)と葛藤するための適切なスパイス。
加えて、どんなオチになるかがわからない、ハラハラドキドキの展開が続くのがたまりませんでした。もちろん、マニアならあの展開になることは読めていたかもしれませんが…。

◇奇妙のツボを押さえたストーリーと、スタッフの世代が見える選曲
今作、『何だかんだ銀座』の影に隠れて、かなりぶっ飛んでますよね。
頭に流れる音楽に合わせた行動をしないと死んじゃう…なんて。
主演の生田絵梨花さんの演技もピッタリですし、ストーリーもばっちり。
クスクス笑える展開、ホラー気味の緊張感あるシーン、彼氏と共に悩みを乗り越えようとする感動的な流れで進むかと思いきや、主人公に付きまとっていた男の登場で一気にサスペンス色が強くなった終盤戦。そして、運命に抗った主人公が彼氏に裏切られる不条理さ。申し分のないお話でしたが、それを「新しい世代」の感性でくみ上げているのが伝わってきて感動しました。
お医者さんの演出や、FFをはじめとするサブカル系寄りのBGM…スタッフの中にニコニコ動画で育った人が居るんじゃないか、そう思った人はマニアにも多かったはず。

こういうのって、「知らない」と出来ないと思うんですよ。
奇妙ブランドが32年も続く中、スタッフの世代交代は僕等視聴者が見えないところで緩やかに進行しているはず。「昔の奇妙が良かった」「だから昔のスタッフを使え」って言っちゃう人も居ますが、それは「ブランドの終焉」に繋がると思います。
故に、新しいものが垣間見える瞬間を、僕はファンとしては大事にしたくって。
今回の奇妙のプロデューサーである中村亮太さんの狙いもピッタリハマっていた作品だと思うので、今後の期待をさせてくれる一作になったと感じます。
ホント面白かった。生ちゃんの「シャープペンシル~~~」最高でした。

 

【電話をしてるふり】
これまでの3作が
「カレー!!!!」
「カツカレー!!!!」
「ハンバーグカレー!!!!!」
みたいな感じで来ており、大人しく終わってくれるデザート的作品を待っていました。

原作を知っていたので安心して臨めたのですが、見たらやっぱり泣いちゃいました。BKBさんすごい。

◇マニアが求めるテンポの良さ
本作に関しては、「まとまっている良作」という感想になり、多くを語るタイプの作品ではないかと。
個人的には、奇妙作品であまり良い思いをしないポジションで登場している印象がある森口瑤子さんが、良いお母さん役で良かったなとか、そういうところが気になっちゃって笑

ただ、15分程度で終わる、すっきり見れる展開はマニアにとって求めている作品だなと再確認しました。
編成上、4話構成になってからは「作品の中だるみ」を指摘され、作品のボリュームもバラツキがあるので、モヤモヤするところは結構ありました。
なので、理想はこのボリューム感の作品3作と、20分程度の作品2作、計5作だなと。
特別編を見れるだけでも嬉しいのですが、ここだけは譲れない…!

 

【総評】
今回はゾクゾク感のある作品もあり、かなり楽しめた特別編でしたが、去年よりもストーリーや演出に「納得してもらえるような意図」を僕は感じました。
昨年の特別編は全体的に脚本と演出のバランスに違和感があり、「何を見せようとしているか」が今一つ釈然としないものもあって。
ただ、そこの課題が結構クリアできている印象はありました。
マニアの間では評価が割れていそうな『オトドケモノ』も、去年の特別編に組み込まれていたら相対的に上位に来そうな出来栄えだったかと思うので、全体的な満足感はかなり高かったです。

 

ストーリーテラーについては今回は河野圭太監督が演出、脚本は『オトドケモノ』の荒木哉仁さんが担当。(だったと記憶してますが間違ってたらすみません)

近年はテラーにも明確な意図を感じますよね。ちなみに、『電話をしてるふり』のテラーはゾクっとしました。

 

マニア的な要望を挙げるとしたら、「ベスト」を目指してほしいな、と。難しい要望ですし、スタッフの方々が目指してないはずないんですけどね。

例えば、『メロディに乗せて』のオチは、エンドロールで使って欲しかったなと。で、作っている人たちがそこに気付かないことって恐らくないと思うので、編成の都合でしかないと思うんです。
ただ、クリエイターとしてはベターなものではなく、ベストなものを作りたいし、見せたいという気持ちがあるはず。
大人の事情でベストへ至るのが難しいのは本当に勿体ないので、そこの突破口が欲しいなと。

加えて、植田監督や城宝監督といった、奇妙シリーズの中期以降を支えている監督の次世代の面々がそろそろ見えてきて欲しいところですね。

昔だと『何だかんだ銀座』『メロディに乗せて』辺りって、誰が撮っても成立してたんじゃないかなと。
ただ、マニアの方々はそれぞれ「植田監督じゃなかったら」「城宝監督じゃなかったら」という心配をしていたんじゃないかなと思います。

近年は『フォロワー』『優等生』の山内大典監督や、『マスマティックな夕暮れ』「永遠のヒーロー』の紙谷楓監督、『配信者』や今回の『オトドケモノ』を担当された渕上正人監督など、新しいスタッフさんも入って来てはいますので、次回の特別編では新しいスタッフさん中心の回も多いといいな…と期待しております。

 

色々書いてきましたが、今回はどれも本当に面白かったです。
秋の特別編も確定しているようなので、楽しみに待っております。

 

最後に、関係者の方々、素晴らしい作品を世に生み出してくれて本当にありがとうございます!!!お疲れ様でした!!!