Prover・Tell meを聴くと泣くオタク(ありがとうmiletさん)

昨日(3/28)、ようやくバビロニア2クール分を観終わりまして。毎回、劇場版アニメを観ているような感覚を味わえる、素晴らしい作品でした。

その中で。2クール目のEDテーマ「Prover」、そして16話のEDと19話で使用された「Tell me」がめちゃくちゃ良い曲だ、という話と、その曲を歌うmiletさんの話をします。

 

2019年のmiletさんは「ドラマ」のイメージ

miletさんの存在は、昨年(2019年)のデビュー曲「inside you」で知りました。

印象に残るハスキーボイス。その歌声には強さと儚さが共存していて、聴けば聴くほど好きになる感覚はありました。ただ、「inside you」の発売時期は他のアーティスト(欅坂46, Aimer, King Gnu...)の曲に熱中して聴いていた時期だったので、ドハマりする、というわけでもなく。

また、3rdEPの表題曲「us」も一時期聴き続けていて、カラオケで歌ったりAmazon musicのプレイリストに入れる程には好きな曲となりました。

ただ一つ、自分の周りでmiletさんを知る人はあまり居らず、話が盛り上がることはなかったのです。

「inside you」「us」はそれぞれ「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」「偽装不倫」というドラマ主題歌として話題でしたが、僕の周りでドラマを観ている人はあまり居ません。また、ヒットチャートを追っている人も少ないので、miletさんを知る接点を持つ人が全然居なかったのです。

 

2019年のイメージとは真反対の「FGO

miletさんがバビロニア2クール目のEDテーマを歌うと知ったのは年明けのこと。最初は「大丈夫なのか?」という不安でした。

miletさんがEDを歌うことになったアニメの原作ゲーム「Fate/Grand Order」および「Fateシリーズ」は、年々人気を広げているコンテンツの一つ。とはいえ、僕の主観ですがFateシリーズは所謂「ライト層」の少ない、ヘビーなオタクたちが集結する一大ジャンルだと認識しています。

一部のオタクは「アーティストのファン獲得目的でのタイアップ」を毛嫌いします。バビロニアのOPテーマを歌うロックバンド「UNISON SQUARE GARDEN」や、1クール目のEDテーマを歌ったアーティスト「藍井エイル」さんにはアニメに関わった過去の実績やアニソンシンガーという肩書きがある一方で、miletさんはアニメタイアップ自体はあるものの、ヒット曲や2019年に獲得したファン層を考えれば、厄介オタクの心が「販促目的か?」と疑うわけで...。

まあ、今思うと杞憂も杞憂だったのですが。

 

苦境が続くストーリーを照らしてくれる「Prover」

バビロニアの後半は胸の詰まる展開続きで、観終わった後の苦しみは毎回大きく...。ただ、2クール目から使用された「Prover」は暗闇を照らしてくれる灯台のような、温かい温もりとささやかな希望を与えてくれるような一曲でした。

もちろん、アニメを知らずとも「Prover」は良い曲なんですが、アニメを観ているとより、この楽曲に惹かれていきます。

まず、アニメの壮大さにEDが負けていないこと。

バビロニア観てて思うのは、作品のクオリティ(特に映像)が2クールアニメのクオリティとは思えないことです。冒頭で申し上げた通り、劇場版として流していてもおかしくないクオリティだと僕は思っているのですが、だからこそ、EDは作品に負けてはいけない...場合によっては、EDのクオリティが、作品の印象を台無しにしてしまうところででした。しかし、「Prover」は本編に負けず、映画のラストで流れていておかしくない、壮大なバラードを響かせてくれるのです。

また、歌詞に対して色んな解釈を出来ることがオタク的に嬉しいこと。

「Prover」はバビロニア全体をイメージされた楽曲であると思うので、主人公の藤丸くんやマシュたちの旅路を歌っているようでもあり、ギルガメッシュ王が見据える未来を歌っているようでもあり。また、イシュタルとエレシュキガル、アナとゴルゴーン、牛若丸と弁慶といった、行動を共にする・相反する存在たちにもスポットが当たっているように聞こえ、この曲を聴くだけで、バビロニア2クール目の、マスターやサーヴァントたちの想いが感じられるような、そんな気がするのです。

※詳しい解説なんかは、下記のナタリーの記事を見るのが早いと思いますので、貼っておきます。

milet「Prover / Tell me」インタビュー|生きる道を証明する新たなアンセム - 音楽ナタリー 特集・インタビュー https://natalie.mu/music/pp/milet05

 

シドゥリさんとキングゥ(エルキドゥ)へのレクイエム「Tell me」

「Prover」はもちろんですが、16話の特殊ED「Tell me」も素晴らしい一曲でした。「Prover」には、バビロニアの迫力に負けない強さがあり、「Tell me」には、作品を優しく包みこんでくれる優しさがありましたね...。

そもそも、この特殊EDは通常のEDとは違い、ギルガメッシュ・エルキドゥ・シドゥリさんの3名に登場人物が絞られたものとなっております。(16話で死んでしまった)シドゥリさんのアップが映るシーンは、涙が止まらなくなりました...。

さらに19話では、16話でシドゥリさんに命を救われ、その後ギルガメッシュによって力を取り戻したキングゥがティアマトへ宝具を打ち込むシーンで「Tell me」が流れます。

16話のEDで流れた時とは少し印象が変わり、キングゥの最期を見届けるギルガメッシュの「見送る側」の想いも乗っかったレクイエムは、物語に重厚感を与えてくれました。

「Tell me」の歌詞をじっくり聴くと「〜でも(ても)」というフレーズが多くあります。最期を迎える側の未練があり、そして、「そばに居たい」「ここに居たい」という叶わぬ願いがあります。シドゥリさんやキングゥにもあったかもしれないそんな想いを代弁してくれた「Tell me」もまた、バビロニアに花を添えてくれた一曲となりました。

 

オタク、次を期待してしまう

結果、2クール目のEDはmiletさんでなければいけなかったんだ、と僕は強く思いました。

素敵な二曲はもちろんですが、少なくともバビロニアを観たオタクはこれから、miletさんが別のアニメで主題歌を歌うことになっても、なんの違和感もなく、むしろmiletさんが歌う曲を楽しみに出来るはず。

バビロニアの終了とともに終局特異点ソロモンのアニメ化が決まり、コンテンツ自体の寿命もまだまだ続くところ。そして、一度バチっとハマるアーティストさんは、もう一度、別の曲を聴いてみたいと思っちゃうのがオタクの欲張りなところ。しがないオタク一人が言ってどうこうなるわけではないですが、またFateシリーズのどこかでmiletさんの歌う曲が聴けたらいいな、というのが、僕の思いです。

miletさん、素敵な曲を、ありがとうございました。